スマホは「かわいくない」から――“ガラケー世代”が作った10代女子向けメッセンジャー「DECOLINK」の狙い(2/2 ページ)
サイバーエージェントが公開した10代女子向けメッセンジャーアプリ「DECOLINK」の特徴は、無料で使える1万点以上のデコ素材。開発者は「自分が10代の頃に夢中になっていたデコメの面白さを届けたい」と話す。
「LINE」ヒットは「正直、焦った」 後発でも参入する理由
DECOLINKの構想がスタートしたのは2012年の1月ごろ。「LINEなどのメッセンジャーアプリが急速に盛り上がりつつある中、サイバーエージェントでもメッセンジャーサービスを出した方がいいのではという議論が続いていました」と藤田さんは振り返る。
“後発”でメッセンジャーサービスを提供するに当たり、ターゲットの明確化を意識した。同社では従来から「アメーバブログ」「アメーバピグ」など女性ユーザーが多いサービスをいくつも展開していることから、既存サービスとの親和性を考慮して女子中高生向けサービスに照準を定めたという。
こだわったのは、デコ素材やスタンプを全て無料で提供すること。同社の調査によると、メッセンジャーサービスを使っている女子中高生の約8割は、有料スタンプを1度も購入したことがないことが分かったという。「女子中高生とスタンプの相性はいいはずなのに、有料だから使われていない。DECOLINKでは“全て無料”にこだわった」(藤田さん)
DECOLINKのリリースを前に、LINEが今年1月に1億ユーザーを突破。「正直、焦りました」と藤田さんは振り返る。「ただ、女子中学生のうちスマホを持っているのはごく一部に過ぎないし、まだ他社のメッセンジャーサービスを使っていない人も結構いる。LINEやcomm、カカオトークなどの他社サービスが“万人ウケ”を目指す中、女子中高生向けに特化したサービスを提供すれば、ユーザーを増やせる余地は十分あると思っています」
マーケットは「大きくはない」が……
同社によると、日本の女子中高生の数は360万人ほど。「マーケットは大きくはないが、女子中高生には時間がある。1人当たりのアクティブ率や利用時間を伸ばし、ページビューを増やせれば、将来的には広告媒体として収益化できるチャンスもある」と藤田さんは話す。
DECOLINKのダウンロード数6万3000件のうち、会員登録が済んでいるのは2万6800件ほどだが、「会員が増えれば増えるほど、利用してもらえるシーンも増える」という考え。4月には、学校での用途を想定したデコ素材やスタンプを毎日20〜100個ずつ追加していくキャンペーンを実施。新学期を迎えた女子中高生ユーザーの新規獲得を狙う。
今後、気に入ったメッセージを保護できる機能を追加するほか、女子中高生の間での流行語を順次デコ素材やスタンプ化して提供する予定もある。また、2月に設立した「JCJK総研」とも連携し、女子中高生のニーズを取り込んだサービス開発を加速させていく。
さらに、スマートフォン向け「Ameba」や、女子中高生を中心に75万ダウンロードを超えるという“ホムペ”作成サービス「Candy」と連携して集客も進めていく。「DECOLINKは、LINEなどの既存サービスと戦うのではなく、女子高生や女子中学生ならこれを使うというものにしていきたい」と藤田さんは意気込んでいる。
関連記事
- 女子中高生の動向を研究する「JCJK総研」、サイバーエージェントが設立 「女子高生編集長」募集
サイバーエージェントが女子中高生の動向を調査・研究する「JCJK総研」を設立。サービス企画などを行う現役の女子高生編集長を募集している。 - アプリで朝まで無料通話、メールは「使わない」――女子高生が語る、今どきの“スマホ事情”
サイバーエージェントが現役女子高生5人を集めてユーザー座談会を開催。「チャットは使うけどメールは使わなくなりました」「デコメも使わなくなりました」など、今どきの女子高生のスマートフォン事情が語られた。 - 「他社には絶対追いつかれない」「ようやくメディア企業になった」──「Amebaスマホ」、藤田社長の狙い
テレビCMなどの大規模展開によって急拡大を続ける「Amebaスマホ」。GREEやMobageなどの先行者がひしめくスマホサービス市場だが、サイバーエージェントの藤田社長は「他社には絶対追いつかれない」と話す。 - 「LINE」1年半で1億ユーザー突破も「単なる通過点」 次は欧米、「攻撃的にチャレンジ」
「LINE」のユーザー数が1億人を突破。森川社長は「1億達成は単なる通過点に過ぎない」と引き締め、今年は欧米や中国に積極展開していくことを明らかにした。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.