「STAP細胞」問題で4月9日に会見した理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーは、理研への思いや、論文発表後の過熱報道、自身の体調などについても、記者からの質問に答える形で語った(関連記事:「STAP細胞作製、200回以上成功」「実験ノートは2冊ではない」「研究続けたい」 会見で小保方氏が語ったこと)。
説明したい意志、理研に伝えていた
小保方氏は、1月末に理研が開いたNature論文発表会見以降、メディアの前から姿を消し、論文への疑義に対する反論や説明なども行わなかった。「何度も、わたしの口から説明させてほしいと理研に希望を出したり、コメントの案を作ったりしていたが、理研が、それは適切ではないという判断で、きょうまで発表することができなかった」という。
「理研の指導が十分だったか」という質問には、「いろんな先生方が協力してくださってたくさん助けていただいたが、わたしの力不足だった」と回答。「理研に裏切られた気持ちはあるか」と問われるとしばらく考え、「そのような気持ちは持つべきではないと思っております」と話した。
理研が「特定国立研究開発法人」(仮称)の指定を目指して目立った成果を求めており、STAP細胞論文のNature掲載にもプレッシャーがかかっていたのでは、という見方に対しては、「投稿論文はいつ受理されるか分からないので、そのようなことはなかった」と否定した。
報道は「恐ろしかったです、正直」
Nature論文発表時の会見では、実験の際に着用しているかっぽう着や、壁をピンク色に塗った実験室などにフォーカスした報道が多かった。かっぽう着は3年ほど前から着て実験しており、ピンク色の実験室は、「理研でユニットリーダーに着任して研究室を用意している段階でできたもの」という。
かっぽう着の報道について小保方氏は、「みなさん、おもしろいところに興味を持つなぁと思った」が、過熱する報道は「あまりにも予想外」で、「恐ろしかったです、正直」。
会見時にiPS細胞との比較優位を強調したのは、理研が「STAP細胞の可能性に期待した」ためだが、「正直、私の気持ちとiPSの比較に関する広報活動に関しては開きがあったのが事実」という。小保方氏は、「iPS細胞との比較に関する広報活動に参加できる立場ではなかった」としている。
1年間、神戸市内のホテルに住んでいたという報道については、「ハーバード大学の研究員だったので、ハーバードから出張という形で滞在していた」と説明。共同研究者で理研CDB副センター長の笹井芳樹氏と不適切な関係を伝える報道については、「そのようなことはありません。そのような報道が出て、本当に戸惑っている」と話した。
「大きな力が働いている」の真意
小保方氏は週刊誌の取材に対して「大きな力が働いている」とコメントしていた。その真意をただされると、「論文発表以降、予期しないできごとがあまりにも次々と起こり、わたしの力では何一つできないような、本当に大きな力に翻弄された毎日を送っていたので、そのような気持ちが出たのだと思う。記者さんに突然囲まれたので、気持ちがたいへん動揺していた」と説明した。
この2カ月は「めまぐるしく日々が変わっていくような状態」。記者発表直後は、STAP細胞の作製方法を人に教えるなど実験活動もしていたが、その後、心身ともに消耗。「だんだん具合が悪くなり、最後は静養しているような状態」で、体調は「絶不調」という。家の周りに報道陣が押しかけて外出もままならず、家にいることが多かったという。
担当医には3月半ばごろから入院をすすめられており、4月8日から入院。9日の会見後も病院に戻ると話していた。
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