これからのWindowsは「製品ではなく体験」 日本マイクロソフト、平野新社長が就任
日本マイクロソフトの新社長に平野拓也氏が就任。「徹底した“変革”の推進」を掲げ、リリースが近いWindows 10の普及などに取り組む。
日本マイクロソフトの平野拓也新社長が7月2日、就任会見を行い、7月から始まる同社の2016年度について「徹底した“変革”の推進」をテーマに掲げ、間もなく正式リリースするWindows 10の普及やワークスタイル変革のけん引などに取り組む意気込みを語った。
平野氏は1970年生まれの北海道出身。2005年に入社し、エンタープライズビジネス担当執行役常務などを歴任し、代表執行役副社長から昇格した。樋口泰行前社長は会長に就任した。
平野新社長は、直近の事業動向として、国内データセンター設立によるクラウドビジネスの加速、SurfaceをはじめとしたWindowsタブレットの販売好調などを説明。新経営体制への移行は「より安定感を持って経営を推進していくため」であり「パートナーからも高評価」と話す。
「変革」の1つとして、米本社と同じく「デバイス中心から人中心へ」という指針の転換を掲げる。Office 365のiOS/Androidへのフリーミアムモデルでの提供など、Windows OSや端末に限らず、広く多様なOSや端末と連携し、ビジネス/プライベートを問わず利用できる環境を整える。
7月29日にリリースするWindows 10はWindows 7/8.1正規版から無償でアップデート可能で、なるべく早い段階で多くのユーザーに使ってもらえればと意気込む。「これからのWindowsが提供するのは製品ではなく体験」(平野社長)とし、クラウド環境を前提に、セキュリティ面や機能面を継続的にアップデートする考えだ。
対応PCは国内では夏〜年末にかけて投入予定。PCやスマートフォン、タブレットだけでなく、ウェアラブルデバイスやIoT端末のさらなる普及も見越して多様な画面サイズのデバイスへの対応を強化していくという。
Windows 10とホログラム技術を搭載するヘッドマウントディスプレイ「HoloLens」など、米本社で開発・発表される最新技術・デバイスも「できるだけ早く日本のお客様にお見せできるよう努力していく」(平野社長)と述べた。日本で苦戦しているゲーム機「Xbox One」については「撤退はない」として、今後タイトルを拡充していく考えを示した。
社会的なミッションとして、ITやクラウドを活用したワークスタイル変革のけん引を掲げ、国や行政とも連携する。新たな働き方に取り組むショールームとして機能する自社の品川オフィスにはこれまで延べ60万人の見学者が訪れているという。8月24〜28日に行う「テレワーク週間 2015」では、ともにテレワーク導入に取り組むパートナーを募り、約300社の法人参加を見込む。
会長に就任した樋口泰行前社長は、平野社長の経営・事業展開をサポートするとともに、パートナー企業との関係強化や戦略的提携、官公庁や自治体と協力した社会問題への貢献、人材育成の強化――など、社外との関係構築に主に取り組むという。
「3月の就任発表から4カ月の助走期間で大きく変わったのは、実行するプロセスより先に社会に与えたいインパクトを考えるようになったこと。樋口前社長が作ってきた『顔が見えるマイクロソフト』の安心感のまま、過去の慣習や経験にとらわれず、新たなインパクトを生み出せるよう積極的に取り組んでいきたい」(平野社長)
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