SpaceX、NASAの宇宙飛行士ISS輸送契約を獲得 2017年に実施へ
イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業SpaceXが、米航空宇宙局(NASA)からISSへの宇宙飛行士輸送の契約を獲得した。実施は2017年になる見込み。NASAはBoeingとも同様の契約を結んでいる。
米航空宇宙局(NASA)は11月21日(現地時間)、米宇宙開発企業SpaceXと国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙飛行士の商業輸送契約を締結したと発表した。
SpaceXは、高級電気自動車のTesla MotorsのCEOでもあるイーロン・マスク氏が創業した宇宙開発企業。無人の物資輸送については既にNASAから受注・運用している。同社は9月、7人まで乗船できる有人飛行船「Crew Dragon」を披露した。
この契約は、NASAの宇宙飛行士輸送の民間企業への委託プログラム「Commercial Crew Transportation Capability(CCtCap)」の一環。NASAは同様の契約を米Boeingと5月に結んでいる(Boeingの宇宙船は「Starliner」という名称)。NASAはこのプログラムで4回の飛行士輸送ミッションを計画しており、最初のミッションをどちらの企業が実施するかはまだ決まっていない。
NASAは現在、宇宙飛行士の輸送をロシア連邦宇宙局のソユーズ宇宙船に依存しており、米民間企業の採用が実現すれば、多大なコスト削減につながるとしている。
SpaceXのISSのへの無人の物資輸送は過去数回実施されているが、直近のミッションは補給船「Dragon」を搭載したロケット「Falcon 9」の爆発で失敗に終わった。この失敗のデータを基に、同社はFalcon 9を改良した。
Crew DragonもFalcon 9(改良型)で打ち上げる計画だ。SpaceXとBoeingには、ミッション実施前の自社での有人試験飛行などが義務付けられている。
関連記事
- 有人宇宙船「Crew Dragon」の内部が初公開 2017年のテストフライトを目指す
イーロン・マスクCEO率いる宇宙開発企業SpaceXが、2017年にテストフライトを予定している有人宇宙船「Crew Dragon」の船内の動画と写真を初公開した。 - ISSへの補給船搭載の「ファルコン9」、打ち上げ数分後に爆発 HoloLensも届かず
MicrosoftのHMD「HoloLens」を含む約2.3トンの補給物資を積んだ無人ロケット「ファルコン9」が打ち上げの2分19秒後に爆発し、失敗に終わった。 - 「ファルコン9」ロケット、垂直着水実験で爆発 SpaceXが動画公開
物資補給船を打ち上げた「ファルコン9」ロケットが垂直着水を試みたものの、爆発した様子をSpaceXが動画で公開した。 - 衛星ネット接続サービス開発中のSpaceX、Googleからの出資を発表
“残りの50億人”へのインターネット接続環境提供を目指すGoogleが、同じ目標を小型衛星で実現しようとしているSpaceXに出資する。出資額は別の1社と合わせて10億ドルで、2社合わせてSpaceXの株式の10%を取得する。 - 火星でもインターネットを──イーロン・マスク氏が新構想を発表
GoogleやFacebook同様に低軌道衛星によるインターネット接続サービスを開発中のSpaceXのイーロン・マスクCEOが、火星に人が住むようになれば、そこにもネット接続が必要だと語った。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.