会話の音声解析アルゴリズム、人間関係予測でセラピスト超え
100組以上の夫婦の膨大な量の会話データに基いて構築した音声解析アルゴリズムに複数の夫婦の会話を“聞かせ”てその関係を推測させたところ、プロのセラピストより高い確度で関係性を当てたという。
夫婦の会話のトーンや調子を解析し、その夫婦の関係が将来好転するか悪化するかを予測するアルゴリズムを開発した学術チームが11月23日(現地時間)、このアルゴリズムをテストしたところ、プロのカウンセラーを上回った発表した。
このアルゴリズムは、南カリフォルニア大学のコンピュータ科学、言語学、心理学、神経科学、小児科学の教授であるシュリカンス・ナラヤナン博士率いるチームが5年以上かけて開発してきたもの。
研究チームは、100組以上の夫婦の夫婦療法での治療セッションの音声を2年にわたって記録し、全夫婦の婚姻関係を5年にわたって追跡した。
記録したデータを音声処理技術で音響要素(音の高さ、緊張度、震えなど)に分解するアルゴリズムを開発した。これにより、感情の高まりなどを声の調子の変化からわりだそうというものだ。
「何を言ったかだけでなく、どのように言ったかが非常に重要だ」と研究者は言う。また、この研究では発言した側の感情だけでなく、その発言が相手に与えた影響も解析している。これにより、2人の関係の軌跡の予測が可能になったという。
このアルゴリズムに夫婦の会話の音声を“聞かせて”行動解析させたところ、同じ会話を聞いたプロのセラピストよりも高い約79%の確度で夫婦のその後の関係を当てたという。
研究チームは次のステップとして、言語やボディランゲージなどの他の要素も解析対象にしていく計画。
この研究は米光化学財団が支援している。
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