“トマト収穫ロボット”、機は熟した? ロボット業界が注目する理由:2015国際ロボット展
「2015 国際ロボット展」には複数のトマト収穫ロボットが出展されている。なぜトマト?
ロボットが収穫したトマトが食卓に上る――「2015 国際ロボット展」(12月2〜5日、東京ビッグサイト)では、そんな未来を予感させる“トマト収穫ロボ”が複数のメーカーなどから登場している。なぜロボットとトマト?
パナソニックのブースには、開発中のトマト収穫ロボットが登場。距離・画像センサーと画像処理アルゴリズムで、トマトの色、形、位置を正確に読み取り、1個当たり6秒ほどで収穫する。ハサミや刃物を一切使わず、あたかも手作業のように傷をつけずに摘み取る。
産業用ロボットを手掛けるスキューズも、プロトタイプの収穫ロボットを参考出展。同社のセンサー技術を活用し、熟したトマトだけを選別・収穫する。自動搬送システム「自動ワゴン」と組み合わせ、収穫作業を効率化するという。
会場内の「2015 農林水産業ロボットコンテスト」では、東京農工大学の工学部・ロボット研究会が「Personal Mobility Device“KAGO(駕籠)”」を出展し、トマトの収穫デモを実施している。
クローラーが付いた1人乗りのモビリティ。シートは進行方向から90度回転し、座ったままでトマトを収穫できる。農場や砂利道でも安定した乗り心地を実現し、「中腰姿勢」になりがちな収穫作業の負担を軽減するという。
なぜトマトなのか?
パナソニックの担当者は「農作物の中でも、トマトはロボットで収穫するメリットが大きい」と話す。収穫量が比較的多く、温室で大量に育てられるため、「雨風の影響が少なく、ロボットを搬入しやすく、自動化の障壁が低い」という。
また、労働力不足や人件費の問題を解消できる上、センサー技術を活用すれば、視界の悪い夜間でも運用が可能なため、実用化に拍車がかかっているという。
こうした一方、担当者は「トマトならではの課題」を指摘する。「1個ずつ枝になるリンゴとは違い、トマトは房で実る。アームの動きが繊細でないと、傷がつきやすい」(担当者)。同社では、アーム精度の改善、収穫スピードの向上などを図りながら、数年以内の実用化を目指すという。
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