カシオ初のスマートウォッチは“アウトドア特化” Android Wear「WSD-F10」登場
カシオ計算機が、Android Wear搭載のスマートウォッチ「WSD-F10」を発表。アウトドア用途に特化し、高い防水性能・耐久性、各種センサー、アプリなどを盛り込んだ。
カシオ計算機は1月6日、時計型ウェアラブル端末「Smart Outdoor Watch WSD-F10」を発表した。登山、サイクリング、釣りといったアウトドアの用途に特化し、同社の防水性能や耐久性、独自のアプリなどを盛り込んだ。実売予想価格は5〜6万円前後。国内で3月下旬、北米で4月に発売する予定。
Android Wearを搭載し、磁気・加速度センサー、気圧・高度計を内蔵するほか、5気圧の防水性能、米国防総省の規格「MIL-STD810G」にも対応する耐久性など、アウトドアの環境を想定した仕様となっている。
GPS機能は内蔵しておらず、スマートフォン(Androidは3.4以上、iOSは8.2以上)を活用。スマホへの着信やメールの確認も可能だ。グローブをはめた手でも操作しやすいよう、側面に3つのボタンを採用し、画面下部にはマイクも搭載する。
1.32インチのディスプレイは、モノクロ液晶とカラーTFT液晶(320×200ピクセル)を重ねた2層構造で、1層目のモノクロ液晶が時計機能を、2層目のカラー液晶が計測情報やアプリの表示を担っている。電池残量が少ない場合などは、カラー液晶をシャットダウンし、モノクロの時計だけを表示する「タイムピースモード」に切り替えできる。
同社が開発したアプリ「TOOL」機能を搭載し、高度や気圧の変化、日の出・日の入りの時刻、タイドグラフ、自分自身の活動量などを瞬時に確認できる。「ACTIVITY」は、トレッキングやサイクリングの速度、経過時間などを常時表示し、ゴール地点までの残り高度やペース配分を把握できる。フィッシングでは、魚の活動に影響を与える気圧の変化を観測し、釣果の予測に役立てられるという。
日の入りの時刻やエネルギー補給のタイミングなどをメッセージと振動で知らせてくれる「MOMENT SETTER」も搭載するほか、同社のデジタルカメラ「Outdoor Recorder EX-FR100」ともBluetooth接続し、手元でリモートコントロールしながらの撮影も可能だ。
こうしたオリジナルアプリに加え、登山専用の地図「YAMAP」、位置情報や気圧グラフなどを提供する「ViewRanger」、サイクリングやランニングの速度や軌跡を記録できる「Runkeeper」、自分の周囲の雨量情報をリアルタイム表示する「Go雨!探知機」――といったサードパーティによるアプリもプリセットする。
本体ボディのサイズは、約61.7(高さ)×約56.4(幅)×約15.7(奥行き)ミリ、バンドを含んだ重さは約93グラム。通常時の駆動時間は約1日、タイムピースモードでは約1カ月。カラーは、グリーン、オレンジ、ブラック、レッドの4色。
アウトドアに特化、日常の“対極”でスマホと差別化
同社新規事業開発本部の坂田勝室長は、アウトドアに特化した理由を(1)スマホで代替できない用途の明確化、(2)実用性の向上――という2つの視点で説明する。
スマートウォッチ、活動量計の市場が世界的に拡大する一方、ヘルスケアやファッション性といった「汎用的用途」を訴求する製品が多数派となっていては「スマホの代替に過ぎない」(坂田室長)という。
カシオから見たスマートウォッチの課題は「電池残量や耐久性能が不十分」な点だ。「水辺や崖の近くで、グローブをはめた状態で操作するには不安が残る」(坂田室長)。通常時は真っ暗な画面で、情報を知るために毎度操作が必要――といった視認性の悪さも指摘し、「ちらっと見れば分かる腕時計の文化を育んできたのに、わざわざ操作を必要とするのは今までの使い勝手を損ねる。腕時計メーカーとしてはありえない話だ」という。
こうした背景を踏まえ、新製品では「汎用性の対極にあたるアウトドアシーンを、第1弾に選んだ」という。高い耐久性能を誇る「G-SHOCK」、アウトドアに特化した「PRO TREK」などを生み出した同社のウォッチテクノロジーに、PDAや携帯電話などエレクトロニクスの実績を融合させたデザインに仕上げた。「時計メーカーでもあり、エレクトロニクスメーカーでもあるカシオが、こうした現状の技術課題を1つ1つ解決できれば」(坂田室長)。
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