FBI、全米法執行機関にiPhoneロック解除支援を申し出る書簡を送付
FBIが全米の法執行機関に対し、事件解決に必要であれば暗号化されたモバイル端末のロック解除を支援するという主旨の書簡を送ったと、この書簡を入手した米Reutersなどが報じた。
米連邦捜査局(FBI)は、全米の法執行機関に対し、事件解決に必要なiPhoneのロック解除を支援するという内容の書簡を送ったと、米Reutersが4月2日(現地時間)、入手した書簡に基いて報じた。
Reutersが4月1日に入手したという書簡には、FBIは暗号化されたモバイル端末を使う容疑者の取り調べに必要なツールが不足している各機関の問題を理解しているとし、「FBIはパートナー(米国の法執行機関のこと)を支援するあらゆるツールについて検討する。われわれが法律の許す限りパートナーを助けるつもりであることを知っておいてほしい」とある。
FBIは米Appleに対し、カリフォルニア州で起きた銃乱射事件で死亡した犯人のiPhone 5cをロック解除するためのツールを提供するよう要求していたが、3月28日に容疑者のiPhoneに保存されたデータにアクセスできたのでAppleの助けは必要なくなったとし、連邦地裁への提訴を取り下げた。FBIはある外部組織からロック解除ツールを入手したとみられている。
FBIは、Appleからツールの提供を受けた場合、そのツールは銃乱射事件の解決のためだけに使い、先例を作る意図はないと主張していた。だが、外部組織から入手したツールは、既に別の事件でも使われたと報じられている。
FBIが連邦地裁への提訴を取り下げた際、Appleは声明文で「データへの攻撃がより頻繁に、より高度になっていく中で、製品のセキュリティをさらに強化していく」と語っている。
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