米Google DeepMindによるAlphaGoはこの3月、人類最強レベルの棋士に勝ち越し、囲碁ソフトウェアとしては最高峰に達した。開発期間2年、サーバ運用費だけで推定30億円以上、全体の開発費は想像もつかないという怪物だが、いずれ対抗者が出てくるのも、こうしたプロジェクトの宿命である。中国の科学者チームがまず名乗りを上げたと、ロイター通信が伝えている。
中国囲碁協会と中国人工知能(AI)協会が主催して北京で開かれた「人と機械によるAlphaGo戦争、および中国のAIを理解するためのイベント」で、中国のAI学者と囲碁専門家によるチームが、AlphaGoに2016年末までに挑戦すると発表した。ただし、挑戦の具体的な内容は詳述されていない。
中国でもAIの研究開発は熱心に行われており、検索大手Baiduなどの中国企業は、すでにAI開発のために米国からのヘッドハンティングなどを盛んに行っている。こうした(人間の)頭脳が、AlphaGoに対抗するために使われるかもしれない。しかし、いくら中国が囲碁の本家とはいえ、開発期間2年のAlphaGoにあと9カ月で追いつけるのか、疑問もある。
一方で3月31日、Googleのスンダー・ピチャイCEOは、中国でトップクラスの囲碁学校を訪れたと「中国日報」が報じている。Googleの広報担当者は、この訪問はピチャイCEOが囲碁と中国についての理解を深めるためだと説明している。AlphaGoの方も、手をこまねいてはいないだろう。囲碁、いや以後の展開が見逃せない。
日本ではドワンゴと日本棋院が協力した「DeepZenGoプロジェクト」が同じく打倒AlphaGoを目指しているのだが、世界的にはあまり注目されていないのだろうか?
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