Google I/O 2016の基調講演まとめ AI中心、VRの取り組みも
Google I/O 2016の基調講演ではAIアシスタントの「Google Assistant」やVRプラットフォーム「Daydream」などの他、Android Nの進捗などが発表された。主な項目をまとめてみた。
米Googleは5月18日(現地時間)、本社キャンパス近くの野外ホールShoreline Amphitheatreで年次開発者会議「Google I/O 2016」を開催した。
司会は3回目になるスンダー・ピチャイCEO(前回まではAndroid/Chrome/Apps担当上級副社長という肩書だった)は、参加者数が7000人に上ったと語った。世界でライブストリーミングしており、中国からも1万人が視聴していると説明した。
初めての屋外会場ということで、Alphabet傘下のXが開発する自動運転車が披露されるかといううわさもあったが、少なくとも初日の段階では、基調講演会場の近くにAndroid Auto搭載自動車が展示されているだけのようだ。
初日の基調講演で発表された主な項目を時系列で紹介する。
モバイル版Google検索やGoogleフォトの検索の新UI
ピチャイ氏は、ユーザーのアクティビティがモバイルにシフトしてきており、モバイルでの検索機能をそれに合わせて強化したと語った。例えばアーティストのビヨンセを検索すると、従来の青い関連リンクの羅列ではなく、ビヨンセについてまとめた情報カードが表示されるようになった(日本語でも確認できた)。
また、さらに続けて「彼女の名言を見せて」と代名詞でたずねると、彼女=ビヨンセであるとコンテキストから判断してビヨンセのインタビューなどを表示する。
Googleフォトでは、「ハグ」や「食べる」といった動詞での検索が可能になった。
AI bot「Google Assistant」
こうしたコンテキストベースの検索の背後にあるのが、自然言語による対話型アシスタントの「Google Assistant」だ。
Google AssistantはGoogle検索の他、Google Now、後述の新アプリ「Allo」と「Duo」、これも同日発表されたガジェット「Google Home」など多様なGoogleのサービスに組み込まれる。
詳細記事はこちら。
Amazon Echo対抗ガジェット「Google Home」
そのGoogle Assistantを搭載する、音声による対話で家族をサポートするガジェットが「Google Home」だ。
ピチャイCEOが、発想したのはAmazonだと語った様に、Amazonが2014年に発表したパーソナルアシスタント「Alexa」搭載のスピーカー「Echo」の後追い製品になる。
「OK Google」で対話を開始し、問い合わせやスケジュールの確認、音楽の再生、スマートホーム製品の制御などが行える。
Googleアカウント経由で膨大なユーザーデータを持っている分、Amazon Echoより便利になる可能性がある。発売は「年内」。
詳細記事はこちら。
AI bot搭載メッセンジャー「Allo」とビデオチャットアプリ「Duo」
Google Assistantを搭載するもう1つの新しいサービスが、AndroidおよびiOS向けのメッセンジャーアプリ「Allo」だ。Googleアカウントではなく、電話番号でログインする。
チャット画面から離れずにbotに情報を聞いたりアドバイスをもらったりできるのが特徴。
ビデオチャットアプリの「Duo」は、着信すると応答する前に端末の画面いっぱいに相手の動画が表示される「Knock Knock(とんとん)」機能が特徴。
2つのアプリは今夏公開の予定だ。
詳細記事はこちら。
Android Nの名前はやはり公募に
Android関連の発表は、Googleの“ロックスター”ことデイブ・バーク氏が担当した。
まずは、Android Nの名前を公募すると発表。本稿執筆現在、既に応募ページが公開されている。公募することは、ピチャイ氏が以前予告していた。
Android Nのプレビューは既に公開されており、同日プレビュー3が公開された(別記事も参照されたい)。
うわさの「Android VR」は「Daydream」に
スタンドアロンかスマートフォンセット式かとうわさされていたVR HMDはスマートフォンセット式のものが、モバイルVRプラットフォーム「Daydream」を構成するハードウェアとして発表された。登場するのは今秋になる見込み。
Android Nに「VR Mode」が搭載され、「Daydream Ready」なスマートフォンをヘッドセットに差し込み、コントローラーを使って楽しむ。同日発表されたDaydream Readyスマートフォンメーカーに日本企業の名前はなく、意外なところでは中国Xiaomiが入っている。
詳細記事はこちら。
Android Wearがバージョン2.0に
ウェアラブルOS「Android Wear」に関しては、次期版「バージョン2.0」の新機能が紹介された(新端末の発表はなし)。
ウォッチフェイスのカスタマイズが柔軟になり、ディスプレイ上での手書き機能や、フィットネスモードではスマートフォンと接続せずにSpotifyなどの音楽をストリーミングできる機能が追加される。
開発者向けプレビューはこちらで入手できる。
Android Studio 2.2
Androidアプリの開発環境である「Android Studio」の次期版「2.2」のプレビューも紹介された。
「Instant Run」が10倍高速化し、エミューレーターも3倍速くなったという。詳細はこちらの公式ブログを参照されたい。
Firebaseの解析ツールを無償提供へ
2014年に買収したモバイルBaaSのFirebaseのアナリティクス機能を無償で提供することも発表した。同日から提供を開始する。
詳細はFirebaseのページを参照されたい。
Android Instant Apps
「Android Instant Apps」は、検索結果を開くのに何かのアプリが必要な場合、その結果をクリックすると、アプリ全体ではなく、その検索結果を開くためだけのコードがダウンロードされ、アプリをインストールしなくても目的のコンテンツを開けるというサービス。
アプリ側が対応していれば、Android Jellybean以降の端末で利用できる。
詳細はこちらの開発者向けサイトを参照されたい。
ピチャイ氏によるAIについての今後の話
基調講演の最後に再登場したピチャイ氏は、機械学習とAIへのシフトについて再度強調し、TensorFlowやParseだけでなく、今後も関連ツールをオープンソース化していくと語った。
また、AlphaGoでも使っているオリジナルの機械学習向けハードウェアTensor Processing Unit(TPU)も紹介した。
現在研究中のテーマの1つとして、ディープラーニングの医療分野での活用について触れ、優秀な医師でも見極めるのが難しい糖尿病性網膜症を眼球のスキャンで早期発見するシステムを開発中であると語った。
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