「なぜ今、ブラウザゲームなのか」 バンナムとドリコム新会社の思惑
バンダイナムコとドリコムが、新会社「BXD」の方針と新作ゲームの概要を発表。スマホ向けブラウザゲームで、カジュアルユーザーの取り込みを図る。
「誰でも手軽に遊べるのがブラウザゲームの強み」――バンダイナムコエンターテインメント(バンナム)とドリコムは5月25日、8月に共同設立するオンラインゲーム新会社「BXD」のローンチタイトルを発表した。2018年春に「ドラゴンボールZ」「ファミスタ」「アイドルマスター」の新作3タイトルをリリース。人気シリーズの早期投入でユーザー獲得を図る。
BXDは、HTML5を活用したWebブラウザベースのオンラインゲームや、ゲーム配信プラットフォームを開発・運営する。バンナムのIP(知的財産)を生かしたゲームプロデュースノウハウと、ドリコムのHTML5開発力を生かし、スマホ向けネイティブアプリと同等のクオリティーのオンラインゲームをWebブラウザ向けに提供する。
両社はこれまでネイティブアプリ開発にも注力してきた。なぜ今、あえてブラウザゲームに注力するのか。
BXDの社長に就任する手塚晃司氏(現バンダイナムコエンターテインメントNE事業部第2プロダクションゼネラルマネジャー)は「今のネイティブアプリはリッチ化が進み、起動が遅く動きも重く感じることがある。ブラウザゲームなら誰でも手軽に遊ぶことができ、ダウンロード不要なので端末のストレージを圧迫することもない」と説明する。
ドリコムの内藤裕紀社長も「最近のゲームは難しいものが増えてきたので、もっと裾野が広がるような手軽なゲームを提供したい。ブラウザゲームなら、URLを教えればすぐに友達同士で遊べる。ゲームから離れてしまっている人や、まだゲームをやったことがない人もカジュアルに楽しめるものを作りたい」と意欲を見せる。すでに3D表現や大規模なリアルタイム対戦なども実現できており、「ネイティブアプリと比べても遜色ない出来」(内藤社長)だという。
“ゲームに限らない”プラットフォームで収益見込む
4月には、楽天がHTML5を活用したWebブラウザゲーム「R Games」を始めたが、BXDの強みは、ゲームに限らないバンダイナムコグループの商品やサービスとの連動にある。
主な収益はゲーム内課金(基本無料で一部課金)を想定しているが、IPを生かしたグッズや、位置情報と連動したユーザー体験の提供など、スマホゲームに収まらない連動企画を仕掛け、ゲーム内課金以外での収益源も探っていく。
「HTML5で開発することは、各社の要望をくみ取りながらサービスを設計できるメリットがあり、さまざまな商品連動をする上でも強みとなる」(手塚社長)
サードパーティー製タイトルのリリースも計画中だ。初年度の売上目標は非公表だが、すでに海外展開も視野に入れている。
バンダイナムコエンターテインメントの大下聡社長は「中長期的に見て、当社の事業として重要なファクターになる。射程に入るには1年ほどかかるだろうが、海外展開もいけると踏んでいる」と自信を見せる。
BXDの資本金は2億4750万円で、出資比率はバンナムが51%、ドリコムが49%。BXDは「Breakthrough X Digital Life」の略で、「新しい未知なるテクノロジーライフにブレークスルーする」という思いを込めている。
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