AmazonやGoogleなどIT大手、「ネットの中立性」で団結
トランプ政権下の連邦通信委員会(FCC)がネットの中立性を見直そうとしていることに対し、コンテンツ配信を手掛けるAmazonやNetflix、SNSのFacebookやTwitterなど40社が団結し、見直し反対のコメントを送るよう国民に呼び掛けた。
Amazon.comやGoogle、Facebookなどのインターネット企業は7月12日(現地時間)、この日を「ネットの中立性(net neutrality)」の「行動の日」とし、中立性維持のための行動を呼び掛けた。
この運動は、2012年に設立された非営利団体Internet Association(IA)が中心となり、ドナルド・トランプ大統領政権によるネット中立性の見直しに反対するもの。
ネットの中立性とは、インターネットのトラフィックはすべて平等に扱われねばならないという原則。バラク・オバマ前大統領はこの原則を支持し、オバマ政権下で米連邦通信委員会(FCC)は新たな「Open Internet Order」を採択した。これにより、FCCがISP(インターネットサービスプロバイダー)による利用制限や特別扱いを禁止できるようになっていた。
だが、トランプ大統領はFCCの委員長としてネットの中立性に批判的なアジット・パイ氏を指名。大手電話企業やCATV事業者などのISPによる特別扱いを認めようとしている。FCCは17日までパブリックコメントを募集している。
行動の日のWebサイトはFCCのこの動きの一般市民への影響について説明し、FCCに反対のコメントを送るよう呼び掛けている。
IAへの参加を表明しているのは主に、映像や音楽などネットトラフィックを大量に消費するコンテンツを配信する企業が中心の40社。大手としてはApple Musicを提供しているAppleが参加していない。
ゲーム実況のTwitchや音楽ストリーミングサービスのSpotifyなどが同日、サービスのトップ画面に行動の日についてのバナーを表示している。
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