ARメガネ「Google Glass」の企業エディション、販売拡大
Google(から分離したX)が約2年の沈黙を破り、ARメガネ「Google Glass」の企業向けエディションの販売拡大を発表した。製造、物流、保守点検、医療分野向けの専門ソフトウェア搭載メガネをパートナーを通して企業に販売していく。
米Alphabet傘下のXは7月18日(現地時間)、2012年にGoogleが立ち上げたAR機能搭載のメガネ型コンピュータプロジェクト「Project Glass」の「Enterprise Edition」の販売を拡大すると発表した。
Google Glassは、様々な情報を表示できる透過型ディスプレイ、マイク、カメラで構成されるARメガネ。音声で命令して必要な情報をディスプレイに表示できる他、他のユーザーとのコミュニケーションツールとしても使える。
Googleは当初、一般ユーザー向けを想定し、「Glass Explorer」エディションのプロトタイプを販売していたが、2015年に同エディションの販売を終了した。企業向けについては、2014年に立ち上げた「Glass at Work」で継続していた。
企業向けGlassは、例えば医療機関向けは医療専門ソフトウェア開発企業を経由するというように、業種に特化したソフトウェアを開発するパートナー企業を通して販売する。
装着したユーザーは、音声命令で診察中の患者のカルテや、専用機器の操作やメンテナンスマニュアルなどをディスプレイに表示しながら作業できる。
Glassチームを率いるジェイ・コタリ氏は発表文で、「製造、物流、保守点検、医療などの様々な分野の労働者が、作業で手がふさがっている間、ウェアラブル端末で情報などを確認できることが便利だと気づいている。そのためにわれわれは過去2年間、30社以上の専門パートナーと密接に協力し、こうした分野のための専用ソフトウェアを構築した」と語った。
Googleを取材した米Wiredのスティーブン・レヴィ記者によると、プロセッサやカメラ(500万画素→800万画素)、無線などがオリジナルよりアップグレードされ、バッテリー持続時間も8時間になったという。ディスプレイを度付きにすることもできる。
既にDHL、Samsung Electronics、Volkswagen、McKinsey&Companyなど、様々な業種の大手がGlassを活用している。
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