Alphabetの気球式ネット網「Project Loon」、ハリケーン被害のプエルトリコ支援へ
Googleが2013年に立ち上げた気球を使う通信網プロジェクト「Loon」が、大型ハリケーンの被害で携帯回線の83%が使えなくなっているプエルトリコでの一時的なサービス提供をFCCに申請し、許可を得た。
米Alphabet傘下のX部門が取り組む気球式ネット網「Project Loon」が、ハリケーン被害でスマートフォンでの通信が壊滅状態のプエルトリコにネット網を提供しようとしている。
Xの公式Twitterアカウントが「プエルトリコに緊急通信網を提供できないか模索している」とツイートしたのは9月29日のことだった。
米Wiredによると、米連邦通信委員会(FCC)は10月6日、Loonに対してプエルトリコと米領バージン諸島で最長半年間、30機の気球を飛ばすことを許可したという。
これが計画通りに実現すれば、Loonの気球はハリケーンで破壊された数千の携帯向け通信塔に代わって回線を提供できるようになる見込み。
FCCが6日に公開したハリケーンマリアによる通信網への被害報告(PDF)によると、プエルトリコでは携帯回線の83%が、米領バージン諸島では57%が使えなくなっている。
Loonは、Googleが2013年にGoogle Xの“ムーンショット”プロジェクトの1つとして立ち上げたもの。地形的条件や経済的要因でインターネットへの接続環境構築が難しい地域にインターネット接続を提供することが目的で、特殊なアンテナを搭載した複数の気球を上空18〜27キロの成層圏に飛ばし、気球同士と地上に設置したアンテナとを接続することでインターネット網を構築する仕組みだ。
Loonは5月、大洪水の被害を受けたペルーで政府や地元通信キャリアと協力し、リマ、チンボテ、ピウラの数万人の人々にLTEサービスを提供したという実績を持つ。
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