増収減益のヤフー、Eコマースとデータドリブンに引き続き投資
ヤフーの2017年4〜9月期の連結業績は、増収減益。Eコマース事業拡大やデータドリブン化に向けた投資が利益を圧迫したが、引き続き投資する考えだ。
ヤフーが10月27日に発表した2017年4〜9月期の連結業績は、売上高が4280億円(前年同期比4.5%増)、営業利益が949億円(同5.4%減)と増収減益だった。減益の背景にはEコマース事業拡大やデータドリブン化に向けた投資があるが、下期もこうした投資を継続する考えだ。
17年7〜9月期の売上高は2152億円(前年同期比4.8%増)、営業利益が427億円(同13.6%減)。アプリやEコマースサイトの広告収入が売上増加に貢献し、広告関連売上高は743億(同7.0%増)。スマートフォン広告の伸びも大きく、全体の55.5%を占めた。
減益は、Eコマース事業のプロモーションやデータドリブン化のために投資した104億円が影響した。ただ投資が功を奏し、Eコマース事業の国内流通総額は4963億円(同14.8%増)と伸びた。スマホ経由の流通が拡大し、52.1%と過半数を占めている。ヤフーの宮坂学社長は「今年度は先行投資。コントロールはできている」とし、引き続き両分野に投資する姿勢を見せる。
今後Eコマース事業では、月額会員「Yahoo!プレミアム」の優遇施策に注力するほか、電子マネー「Yahoo!マネー」の利用拡大を目指す。現在Yahoo!マネーは「ヤフオク!」と連動施策を行っているが、「Yahoo!ショッピング」やオフライン店舗での展開も視野に入れ、社内の食堂やカフェでテストを行っているという。
データドリブン化については、Yahoo!IDとひも付いた多様なデータを活用し、ユーザーの好みに合わせて商品やニュースを提案する技術の向上を図る。Yahoo!マネーを使った与信サービスの提供も検討している。
また、社内の開発環境の改善にも投資する考え。「古い道具で開発するのは効率が悪い。エンジニアが使う開発ツールはどんどん新しいものに変えていこうと思っている。外からはあまり見えないが、生産性を上げるには大切なこと」(宮坂社長)
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