Google、虚偽ニュース対策とメディア企業支援の「News Initiative」に3億ドル投入
Googleが、虚偽ニュース対策とメディア企業支援のためのイニシアチブ「Google News Initiative」を発表した。向う3年間で3億ドルを投じ、“ジャーナリズムの未来を築く”。
米Googleは3月20日(現地時間)、“ジャーナリズムの未来を築く”ためのイニシアチブ「Google News Initiative」(GNI)の立ち上げを発表した。そのゴールに向けて、向う3年間で3億ドルを投じる計画だ。
GNIは、「デジタル時代のジャーナリズムの未来を切り開くべく、Googleが報道業界とのコラボレーションを推進する取り組み」。
同社はFacebookやTwitterと並んで虚偽ニュース拡散の対策を求められている。News Initiativeで、メディア企業が収益を確保し、コンテンツの品質向上に注力できるよう支援することでGoogle検索結果などのコンテンツ信頼性を高める狙い。
GNIでは以下の3つの目的に焦点を当てる。
- 質の高いジャーナリズムの強化
- 持続可能な成長のためのビジネスモデル展開
- ニュースメディアのための技術革新
1つ目は、虚偽ニュース対策だ。YouTubeの「トレンド」に虚偽動画を長時間掲載したような問題をシステム改善で解決していく。また、選挙や速報などの虚偽ニュース対策のための「Disinfo Lab」を立ち上げる。さらに、ユーザーが情報の真偽を判断できるようになることを支援するために、Poynter Institute、スタンフォード大学などの第三者機関と協力し、米国でデジタル情報リテラシー向上のためのプロジェクト「MediaWise」を展開する。
2つ目は、メディア企業の収益増支援。同社は検索結果で適切なコンテンツが表示されるよう機械学習システムを改善したり、モバイルでの高速表示「AMP」への参加を呼び掛けたりしている。その一環として、読者がメディアの購読(サブスクリプション)しやすくするサービス「Subscribe with Google」(日本では「Googleで購読」)を立ち上げた(関連記事)。
3つ目の技術革新については、メディア企業が自社のジャーナリストに安全にインターネットに接続するためのVPNを簡単に構築するJigsawによるオープンソースツール「Outline」を紹介した。
関連記事
- Googleアカウントでニュースメディアを購読する「Googleで購読」開始
Googleが、ニュースの有料記事購読申し込みを簡易化する新サービス「Googleで購読」を発表した。Googleアカウントで申し込むことで、メディアごとに引き落とし口座やパスワードを入力する必要がなくなる。 - GoogleとFacebookの米広告シェアがAmazonとSnapの台頭で減少──eMarketer調べ
米調査会社eMarketerの予測では、GoogleとFacebookの米広告市場での2018年のシェアが減少すうる。Amazon.comやSnapchatのSnapの伸びの影響によるという。 - YouTubeのCEO、動画にWikipediaへのリンクを追加する計画を発表するもWikimediaは「聞いてない」
YouTubeのスーザン・ウォジスキCEOは「SXSW 2018」で陰謀論的な動画には別の視点もあることを紹介するためにWikipediaへの関連リンクを表示するという計画を発表した。Wikipediaを運営するWikimediaは翌日、事前に何も説明を受けていないという声明文を発表した。 - Google、AMPの高速化技術のWeb標準化を目指す
Googleが推進するモバイルWeb高速化プロジェクトAMPで得た成果をWeb標準化する取り組みを発表した。この標準に準拠すれば、非AMPコンテンツでもGoogle検索結果でAMP同等に扱われるようになる。 - フロリダ州高校銃乱射の被害者を「やらせ」とする虚偽動画がYouTubeのトレンドに
フロリダ州の銃乱射事件に巻き込まれ、報道番組などでインタビューに答えていた高校生が「雇われた役者だ」とする虚偽動画が米国版YouTubeの「急上昇」のトップになり、虚偽ニュース対策の難しさを浮き彫りにした。 - Google、ローカルニュース発信アプリ「Bulletin」のテスト開始
Googleが、Twitterのように気軽に地元の情報を投稿するためのアプリ「Bulletin」のパイロットテストを米国の2都市で開始した。 - FacebookやGoogle、虚偽ニュース対策の「Trust Project」で75以上のメディアと協力
ロシアによる大統領選挙介入を看過したとして非難されているFacebook、Google、Twitterが、虚偽ニュース対策の一環として、コンテンツの信頼性判断を助けるプロジェクト「Trust Project」に参加し、メディアが記事に付ける「インジケーター」を表示していく。Microsoftも同プロジェクトに参加した。 - Google、虚偽ニュース対策で不適切な検索候補の報告フォームを追加
検索結果として虚偽ニュースを表示したことで批判されているGoogleが、幾つかの対策を発表した。その1つは、検索のオートコンプリートで表示される不適切な候補を報告するフォームの追加だ。 - Google、検索結果の「ファクトチェック」ラベル表示を世界で開始
虚偽ニュース拡散で批判されたGoogleが、Google検索およびGoogleニュースで、サイトオーナーがファクトチェック(事実確認)したコンテンツにはラベルを表示するようになった。 - YouTubeからの大手メディア広告引き上げを受け、Googleが自動システム改善を約束
英国政府や大手メディアが、YouTubeの不適切な動画に広告が表示されるとして、YouTubeやGoogle Display Networkから広告を引き上げたことを受け、Googleが広告ポリシーを改善し、広告表示先を管理しやすくすると約束した。 - Google、ニュースメディア支援の「News Lab」でツールやデータを提供
Googleが、ジャーナリストと“メディアの未来を構築する”ための新サイト「News Lab」を公開した。GoogleトレンドやYouTube Newswireなどの同社サービスの活用法などがまとまっている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.