空飛ぶ消火ロボット「ドラゴンファイヤーファイター」開発 建物内に突入して直接消火
東北大学・田所諭教授らの研究グループが“空飛ぶ消火ロボット”「ドラゴンファイヤーファイター」のプロトタイプを発表した。水の噴射を推力にしてホースを浮上させ、建物内の火元を直接消火する。
東北大学・田所諭教授らの研究グループはこのほど、“空飛ぶ消火ロボット”「ドラゴンファイヤーファイター」のプロトタイプを発表した。水の噴射を推力にしてホースを浮上させ、建物内の火元を直接消火するという。5月31日に開幕する「東京国際消防防災展」(東京ビッグサイト、6月3日まで)で展示する。
開発したロボットは全長3メートル。2つのノズルモジュールに加え、先端に状況を把握するためのカメラと熱カメラを搭載している。単に水を噴射するだけでは柔軟な消火ホースは暴れてしまうが、複数の噴射ノズルを連結し、それを制御する技術を開発して安定した浮上を実現した。「水噴射による制御の原理検証を行った結果、(消火ホースの)根本を固定した場合、およそ根本と同じ高さまで浮上し、先端を左右1.5メートルほど動かして火元にターゲットを定めることが可能」という。
これまで大規模な火災現場では、建物内に入って直接放水することが困難なため、遠方から周囲に放水して延焼を防ぐしかなかった。ドラゴンファイヤーファイターが実用化されれば、建物内での火元消火が容易になり、消防士のリスクを軽減できるほか、消火活動の効率化や使用する水の削減、建物内の浸水を抑える効果なども期待できるという。
今後は、ノズルモジュールの小型化、ホースの長尺化、耐火性能の付与、消化性能の向上など、実用化を目指した研究を進めていく。
研究グループは、東北大学の田所諭教授、昆陽雅司准教授、多田隈建二郎准教授、安部祐一助教、社会人博士課程の安藤久人さん(福島県ハイテクプラザ主任研究員)、八戸工業高等専門学校の圓山重直校長、国際レスキューシステム研究機構などが参画。内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)のタフ・ロボティクス・チャレンジの一環として開発を進めてきた。
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