「職員ブラボー」──西日本豪雨被害、東広島市が公開した道路通行止め情報に称賛の声 「Googleマップ」活用で 担当者に聞いた(2/2 ページ)
広島県東広島市がGoogleマップを活用した道路通行止め情報を公開している。ユーザーそれぞれのデバイスに適した表示ができるなど、メリットが大きいと称賛されている。柔軟な対応ができた理由を同市役所の担当者に聞いた。
東広島市役所の酒井さん(政策企画部情報政策課)はITmedia NEWSの取材に対し、きっかけを次のように説明する。
「当初、PDFファイルで情報を公開していましたが、実際の通行止め地点が明確に分からず、『どこを通れるのか分からない』という問い合わせを多くいただきました。少しでも市民の方々に『使える』と思ってもらえるような情報を提供する手段を考えたとき、簡単に地図の作成や公開ができて、ユーザーにもなじみのあるGoogleマップを使うことにしました」(酒井さん)
Googleマップ版を含む道路通行止め情報は、主要道路が復旧するまで更新する予定。道路通行止め情報の元データを作成しているのは、同市の防災準備班職員(建設部・都市部 主に建設管理課)で、データの加工やGoogleマップへの反映は広報班職員(情報政策課)が担った。
同市は、普段から市役所の各部署が持つさまざまな地図データを相互利用できる庁内統合型の地理情報システム(GIS:Geographic Information System)を使っている。そうしたノウハウを蓄積していたことも、今回の柔軟な対応につながった。担当班が主体となって何ができるかを協議し、道路情報の公開に至ったという。
これまで同市がGoogleマップを活用したのは、Webサイト上で位置情報を示すような利用のみ。今回のようなコンテンツの主たる手段としての利用は初めてだ。行政がこういった外部サービスを利用することについて、酒井さんは「制限するべきでない」と話す。
「利用者が最も求めている形態が外部サービス利用により実現できるならば、利用を制限すべきではないと考えます。ただし、取り扱う情報の種類によってはセキュリティなどについて検討は必要です」(酒井さん)
今回のような災害で、現地調査や国道、県道の通行止め情報をもとに道路情報をオンラインに随時反映する作業は時間がかかるという。東広島市の取り組みは、情報公開手段の好例となりそうだ。
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