Amazonの顔認識を批判するACLU「検証で議員28人が犯罪者にマッチした」にAWSが反論
Amazonが顔認識サービス「Rekognition」を米法執行機関に提供していることに反対する人権団体が、Rekognitionで国会議員と犯罪者データベースをマッチングさせてみたところ、28人が犯罪者とされたと発表。Amazonはこれに反論した。
アメリカ自由人権協会(ACLU)は7月26日(現地時間)、米Amazon.comのリアルタイムで人の顔を認識するAWSの技術「Rekognition」で米連邦議会議員の顔写真を犯罪者のマグショットコレクションと照合させてみたところ、28人の議員がマッチしたと発表した。
ACLUは5月に、AmazonがRekognitionを米国の法執行機関に販売しているのは人権侵害だと主張した。
ACLUは今回の発表で、法執行機関がAmazon Rekognitionを使えば、誤った人物特定に基づいて罪のない市民の家宅捜索が行われたりするかもしれないという懸念を表明した。
ACLUは検証の詳細を発表していないが、公開されている2万5000人分の犯罪者のマグショットと現在の米連邦議会議員全員の写真を、Amazonが初期設定しているマッチ設定を使って実施したという。
これを受け、Amazon傘下のAWSは27日、「Thoughts On Machine Learning Accuracy(機械学習の正確さについての考察)」という公式ブログを公開した。この中で、Rekognitionの初期設定では信頼水準が80%になっているが、法執行機関でのRekognition利用では、信頼水準を99%以上に設定するよう文書で推奨していると説明。ACLUの約30倍の顔コレクションを信頼水準99%で同じ検証を行ったところ、マッチング結果は0人だったと語った。
「機械学習は法執行機関を支援する非常に価値のあるツールだ。われわれは、オーブンの設定温度をピザを炭にしてしまう高温に設定することもできるからといって、オーブンを放り出すべきではない。だが、政府が法執行機関が公共の安全を守るためにオーブンの温度を何度に設定するか(顔認識の信頼水準を何%に設定するか)に介入することは、非常に合理的な考えだ」とAWSはブログの最後に述べている。
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