好きなキャラと話せる立体ディスプレイ、JDI「LF-MIC」のマジカルな未来(3/3 ページ)
ジャパンディスプレイ(JDI)が、裸眼立体視に対応する「ライトフィールドディスプレイ」(型番:LF-MIC)を開発した。特別なメガネを装着しなくても立体映像が見られる縦長の小型ディスプレイで、ゲームやアニメのキャラクターを映し出し、会話もできるスマートスピーカーのようなデバイスを目指す。
将来は立体映像付きのスマートスピーカー
JDIは、キャラクターのIP(知的財産)を持つ企業と協力し、ライトフィールドディスプレイを事業化を検討している。将来的には5.5インチ液晶モデルに音声認識機能を搭載し、立体的なキャラクターとインタラクティブに会話できる「スマートスピーカーを意識したデバイス」を開発する方針だ。最終製品まで自社で製造するかは未定だが、キャラクター用のコンテンツ配信プラットフォームを構築し、各種アイテムや追加アクションのダウンロード販売など課金ビジネスに参入するとしている。
試作機にスマートフォン向けゲーム「イケメン戦国」のキャラクターを提供したサイバード(東京都渋谷区)は、Amazon Echo向けにキャラクターと会話できるスキルを提供したり、伊達政宗の声優を務めた俳優の加藤和樹さんを「バーチャルYouTuber伊達政宗」として生配信デビューさせたりと、自社IPの活用に積極的だ。「出口側(コンテンツ制作サイド)の意見は貴重です。さまざまなアイデアをもらっています」(山本氏)
山本氏によると、発表会の後に多くのゲームメーカーやCGクリエイターから問い合わせがあったという。「ライトフィールドディスプレイを利用して『こういうものを作りたい』という意見を聞く機会が増えましたね」(山本氏)
Gateboxとの違い
LF-MICという型番は、ライトフィールド(LF)と事業部名である「マーケティング・イノベーション&コミュニケーション」(MIC)の略だ。ところが開発の現場ではMICを「ミク」と読む。大方の予想通り、バーチャルシンガー・初音ミクにインスパイアされた呼び方で、同時に「製品が目指す姿」も表現しているという。
左からJDI R&D統轄部 フロントプレーン開発部 応用開発1課の瀧澤圭二課長、同じく林宗治研究主査、NHKメディアテクノロジー 放送技術本部 映像部 CG・VFXの大塚悌二朗副部長、JDI マーケティング・イノベーション&コミュニケーション戦略統括部 ソリューションプランニング推進部 ソリューション推進2課の山本尚弘課長
好きなキャラクターを身近に感じられるライトフィールドディスプレイ、JDIはこれを「1年以内に商品化する」としている。しかし、同様のコンセプトを持つ製品として、“俺の嫁召還装置”こと「Gatebox」が存在する。最後に両者の違いについても聞いた。
「Gateboxは超短焦点プロジェクターで半透明スクリーンにキャラクターを投映する仕組みと聞いています。映像ソースは3D CGであっても表示自体は2D。横から見てもキャラクターの側面は見えません」と山本氏。液晶パネルを使用するメリットとして、クリアな映像とコンパクトな筐体、将来的に低コスト化が期待できることも挙げた。
一方、ライトフィールドディスプレイのネックは映像処理の重さだ。「GPUなどは日々進化しているため、1〜2年で状況は変わると思います。ただ、スマートスピーカーなど単体製品の前に、“PC用セカンドモニター”として販売することも検討しています。映像処理をPCに任せれば製品化の時期を早められるかもしれません」(山本氏)
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