Facebook、New York Timesによる社内問題暴露記事に逐一反論
New York Timesが「Facebookは2016年の米大統領選攪乱目的のロシアの介入を早くから知っていたがすぐに対処しなかった」という記事に反論した。幹部にiPhone利用を禁止していることについても説明した。
米Facebookは11月15日(現地時間)、前日に米The New York Timesが掲載した「Delay, Deny and Deflect: How Facebook’s Leaders Fought Through Crisis」というタイトルの記事の内容について「不正確な点が多数ある」として反論した。
New York Timesの記事は、Facebookが2016年の米大統領選に与えた影響について、いつ気づき、どう対処したのかを中心に、同社の過去2年間の動向を、従業員や元従業員、関連企業などのへのインタビューや調査に基づいてまとめたものだ。
同社のマーク・ザッカーバーグCEOは、大統領選の結果が出た2016年11月の時点では、Facebook上のフェイクニュースなどが選挙結果に影響を与えたという批判を否定していた。ロシアのアカウントがサービスに介入したことを限定的に認めたのは2017年9月のことだ。
New York Timesによる報道とそれに対するFacebookの反論をまとめてみた。
ロシアの介入について
- New York Timesの報道
2016年の春には社内のエンジニアが気づいており、2016年12月にはザッカーバーグ氏やシェリル・サンドバーグCOOに報告されたが、すぐに対策しなかった。2017年1月に社外に公表するか検討したが、しないことに決定した。
- Facebookの反論
ザッカーバーグ氏が議会で証言したように、2016年11月の選挙まで、ロシアとの関係でいくつかの脅威を検出し対応した。(2016年の春に気づいていたかどうかには触れていない)
ドナルド・トランプ氏のイスラム入国全面禁止投稿について
- New York Timesの報道
ドナルド・トランプ氏が2015年にFacebookでイスラム教徒の米入国を全面禁止すべきと投稿した際、対策を検討したがトランプ氏の支持層の批判を恐れて容認した。
- Facebookの反論
トランプ氏の投稿に対処しなかったのは、批判を恐れたからではなく、この投稿がコミュニティ基準に違反していないと判断したからだ。
Facebookがコンサル企業を雇って競合や批評家のネガティブ情報を投稿させた
- New York Timesの報道
Facebook自身もコンサル企業Definers Public Affairsを雇い、競合他社や自社に批判的な批評家などについてのネガティブな情報を投稿させていた。
- Facebookの反論
Definerを採用したのはメディア対応のためであり、Facebookのための記事を書くよう依頼したことはない。また、14日に同社との契約を破棄した。
ザッカーバーグ氏が幹部にiPhone使用を禁止
- New York Timesの報道
米Appleのティム・クックCEOがFacebookに批判的であることに怒ったザッカーバーグ氏が幹部に対し、iPhoneではなくAndroidスマートフォンを使うよう命じた。
- Facebookの反論
クック氏の批判にザッカーバーグ氏が同意していないのは事実だが、従業員と幹部にAndroid端末を使うよう奨励しているのは、Androidが世界で最も使われているOSだからだ。
関連記事
- Facebook、米中間選挙関連の偽情報投稿を削除
11月6日に米中間選挙を控え、Facebookがサービス上での選挙関連のフェイクニュース対策を強化した。投票方法についての偽情報の投稿も削除する。 - FacebookのザッカーバーグCEO、「中間選挙に備えてはいるが、政府や他社との協力が必要」
Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOが、来る米中間選挙に向けて2016年に米大統領選挙での問題を繰り返さないために取り組んでいる対策についてのFacebookノートを投稿した。この“軍拡競争”に勝つには他社や政府との協力が必要としている。 - FacebookのザッカーバーグCEO、初公聴会を無難に乗り切る
Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは初の議会公聴会を無難に切り抜けた。約4時間にわたる公聴会で、ユーザー保護についての厳しい(ときには的はずれな)質問に答え、システムの改善を約束した。 - FacebookやInstagramを使い、米大統領選に介入 ロシア人13人を起訴
起訴されたロシア人13人はSNSに虚偽のアカウントを開設し、「米国に対する情報戦争」を展開していたとされる。 - FacebookのサンドバーグCOO、「ロシアによる干渉を許してしまったことを謝罪する」
ワシントンに滞在中のFacebookのシェリル・サンドバーグCOOがメディアのインタビューで、ロシア政府による虚偽アカウントを使ったターゲティング広告問題について語り、干渉を許してしまったことを謝罪し、システムの改善を約束した。 - Facebook、「米大統領選でのロシアによる不正広告は1000万人が見た」
ロシアが米大統領選で国民の意見対立を目的として展開したFacebook上の広告は、約1000万人のユーザーの目に触れたとFacebookが発表した。 - Facebook、ロシア政府につながる可能性のある広告を米連邦議会に提出すると発表
2016年の米大統領選の結果に影響を与えたと批判されているFacebookが、独自調査でロシアが関与している可能性が判明した広告データを米連邦議会に提出すると発表し、マーク・ザッカーバーグCEOがライブ動画で今後の取り組みについて説明した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.