富裕層と同じ金融サービスを受けるには? WealthNavi柴山CEOに聞く:ロボアドバイザーが目指すのは富裕層サービスの民主化(4/4 ページ)
人間に代わってアルゴリズムで運用を行ってくれるロボアドバイザー。そんなWealthNaviを提供するウェルスナビの目指すのは、富裕層が受けているようなサービスを一般の人たちに提供することだった。
「AIが株価や金利を予測して売買するというのが運用のAI化のイメージだと思います。多くの場合は失敗すると思うが、一部にうまくいくものが出てくるかもしれない。でも、そこで生まれてくるのは短期売買なんです。短期売買がリターンの源泉です。マーケットのゆがみを見つけて利益を出す。しかも誰か相手から奪ってくるわけです。限られたパイの奪い合いです。これを誰もができるようになるというのは定義矛盾です。一部の人のためにAI運用をするのは可能かもしれませんが、多くの方から多くの金額を預かったらできないんです。働く世代を豊かにしましょう、富裕層向けのサービスを民主化していこうという私たちの考えとは合いません」
最後に、インデックス投資についても聞いてみた。WealthNaviが提供しているサービスは、既存のインデックス型ETFを組み合わせて購入し、定期的にリバランスするのが基本だ。いわゆるインデックス投資に当たる。ならば、自分でETFを選んで購入し、自分でリバランスも年に1回程度行えば、より低コストで同じ結果を得られるのではないだろうか?
「そうだと思います。賛成です。ただしそれが実行できる人は、人間が陥りやすい心理的なワナにはまらない性格の持ち主か、いろいろな経験をくぐり抜けて痛い目にもあい、ワナに陥らない術を身に着けた人だと思います。そういう人が、自分でできるし自分でやったほうが手数料が安い、というのはそのとおりだと思います」
「問題は、そういう人が世の中にどれくらいいるか。私の両親にそれができるか。ちゃんと自分で運用できる人は1%もいないかもしれない。世の中の99%の人は感情のワナにはまるんですよ。そういう人に寄り添って、どうやって20年、30年、老後に向けた資産運用をしていくかが、目指している姿です」
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