「おつり」でロボアドが投資 「投資初心者の一歩に」:ウェルスナビが「マメタス」スタート
個人金融資産の半分以上が預貯金で、投資意識が低い日本。「投資初心者が気軽に投資できる」サービスをウェルスナビが始める。「おつり」を活用し、ロボアドが自動で長期分散投資を行う。
ウェルスナビは5月17日、おつりで資産運用ができるスマートフォン向けアプリ「マメタス」を5月末から提供すると発表した。クレジットカードによる日々の買い物の「おつり」の積み立てが、ロボアドバイザー「WealthNavi」によって運用されるサービス。1年間で30万人の利用を目指す。
事前に登録したクレジットカードの利用履歴を利用し、月末にアプリ上で積み立てた額を登録した銀行口座から引き落とし、運用資金に回す仕組み。「おつり」は100円/500円/1000円単位で設定でき、例えば120円の買い物をした場合、100円単位なら80円、500円単位なら380円、1000円単位なら880円が投資用の積み立てとなる。
資産を運用するロボアドバイザーWealthNaviによって、50か国1万1000銘柄に分散投資される。ウェルスナビは既にこのロボアドによる投資プランを提供しており、2016年7月のリリースから9カ月で預かり資産100億円、取り扱い件数1万8000件を突破。一般的に資産運用サービスは60代以上の層が多くなるが、WealthNaviの利用者は20〜50代の「働く世代」が9割以上を占めているという。
柴山和久社長は「WealthNaviの利用者は、9割が投資経験者だった。そうした層に選ばれたのはうれしいことだが、資産運用をこれから始めたいが、何をしていいのか分からない人のために『マメタス』をスタートした。投資への心理的なハードルを下げられれば」と語る。
アプリのリリースはiOS版が5月下旬。Android版は後日を予定する。「WealthNavi for 住信SBIネット銀行」にて既に資産運用を開始し、積み立てを設定している利用者を対象に提供を始める。今後、対象者や取り扱い金融機関を拡大するとともに、電子マネーなどの取り扱い対応も目指す。
少子高齢化による年金不安や、退職金の減少などから、老後の備えとして資産運用への関心が高まっている。しかし現状、個人金融資産1800兆円の半分以上が預貯金であり、米国、英国、ドイツなどの諸外国と比べ、まだまだ資産運用に対しての姿勢は消極的だ。また、規制の強さもあり、フィンテックや新しい金融インフラの構築は欧米や中国ほど進んでいない。
「ドイツも10年前は日本と同じく、個人金融資産の半分が預貯金だった。しかし、金融機関への働きかけで、投資への流れが進んでいる。日本がドイツ並みに貯蓄から投資への流れが進めば、200兆円が投資へと移っていく」(柴山社長)
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