「世界中で住所革命が起きている」 3つの言葉で位置を示すwhat3wordsの仕組みと課題(2/2 ページ)
「///いちがつ・わたくし・ねむい」といった3つの言葉で細かい場所を指定できるwhat3words。開発したイギリスwhat3wordsのCMO、ジャイルズ・リース・ジョーンズ氏が開発の経緯や仕組みについて話した。
遊牧民に物を届ける仕組みを実現
砂漠や山岳地帯など、これまで細かい住所がなかった場所でも正確に場所を特定できるwhat3wordsは、座標と同様、一度割り当てられた3つの言葉は変更されない。このため、スマートフォンアプリなどの形で使用する場合にアップデートが不要。オフラインでも使用できるメリットがある。
こうした特徴を生かし、モンゴル、ジブチ、トンガといった国では郵便サービスにwhat3wordsを導入。フィンランドでは国土調査、 南アフリカの農村開発・土地改革省のプログラムなど、世界中の国や自治体が公的サービスに採用したという。とくにモンゴルでは、遊牧民に郵便物を届けるという社会的課題の解決に貢献した。
「既に約170カ国で1000を超える企業や政府機関などに導入されました。(what3wordsは)世界中で住所革命を巻き起こしています」(ジョーンズ氏)
音声入力と相性の良いwhat3wordsは、自動車や物流などの分野で注目を集めている。「パートナーの1社であるメルセデスベンツは先日、世界初となるwhat3words音声入力ナビを装備した車種を発売しました。国際物流大手のアラメックスは中東での配達にwhat3wordsを導入し、40%以上の効率アップを実現しました」。この他、自動車メーカーの米ダイムラーは18年始めにwhat3wordsの株を10%取得、6月には日本のカーナビ大手のアルパインも出資するなど自動車業界の関心は高い。
しかし、自動運転車を含む将来のモビリティシステムを視野に入れた場合、位置情報には高さ方向の情報も必要になる。例えば東京では、一般道の上に首都高がある場所も多く、自動運転車向けのダイナミックマップなども3Dが前提。事実、what3wordsの技術を企業に紹介したとき、一番多い質問は「3D対応」に関するものだという。
「3D対応は検討しています。ただ、what3wordsに高さ情報を追加すると3つのワードだけでは足りません。どのような形になるか分かりませんが、何かを足す必要はあるでしょうね」(ジョーンズ氏)
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