金利が投資に影響するわけ 金利は経済の体温計:渋谷豊の投資の教室(2/4 ページ)
投資に関する情報を集め始めると、「金利が上がったから」「利上げが」といった言葉をよく聞きます。でもこの金利とは何で、どうして投資に関係するのでしょうか? リスク管理、資金管理と同じくらい重要だという金利について、話を聞きました。
短期金利は景気の調整
サイトウ: 中央銀行が金利をコントロールするのってなぜなんですか?
渋谷: 中央銀行がこの国の景気をどうしようか? と思ったときに、エアコンで温度を上げ下げするかのように、金利を上げ下げして景気を調整しようとします。市場がハイフィーバー、つまり興奮状態になってきているときには、まぁまぁ落ち着きなさいと金利を高くすることで、みんなの興奮状態を抑えることができます。
例えば、自動車ブームがきました。ローンを組んでみんなが車を欲しいと思っていて、自動車バブルみたいになっているとします。その結果、インフレが加速して景気に対して悪影響を与えそうになったら、「じゃあ金利を5%にします」となります。中央銀行がこのようにコントロールすると自動車ローンの金利もつられて5%以上になるので、「5%のローンはさすがに高いなぁ、じゃぁ車買うのやめようかな」と冷静になる。こういう方法で、自動車バブルをコントロールします。
ところが、5%にコントロールしたことで、みんながシュンとなって「俺は、家でゲームでもやっている」となったら消費が大きく落ち込み景気が後退します。そうなるとまずいので、ごめんごめん0%に下げるから、家の中で遊ばないでもっと車を買ってくれない? と利下げを行います。
これが中央銀行のコントロールの仕方で、金利政策と呼ばれるものです。経済の状況を調整するために上げ下げするものですね。
長期金利は市場のニーズ
サイトウ: なるほど。では長期金利というのは違うものなんですか?
渋谷: 10年以上の金利を長期金利といいます。これはどういうものかというと、10年間お金を借りて設備投資をしたいとか、社債を発行して工場を作ったり海外に進出したりするときの資金調達などに関係するものです。個人だと家を買うのもこれにあたります。
企業や個人が長い期間おカネを借りようとする、つまり需要が高い状況になると、借りたいと思う人には高く貸してあげようと金利が上がる。この長期金利がどんどん上がるということは、借りたい人が多い、つまり景気が良いということです。
実際にあった例でいうと、ある日本の航空会社の子会社がバブルのときに海外のホテルなどを買うために多額の借り入れをしました。なんと金利は年率14%。100億円借りたら毎年14億円利息を払うわけですよね。ホテルの営業利益で返せないくらい。値上がり益でしか返せない構造なので、バブルの崩壊から10数年後に彼らは破綻しました。
でも、彼らは当時思ったんです。14%以上の金利でも返せると。そう思うと貸し手がつくというのが金利です。
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