「Facebookは故意にプライバシー保護と競争防止の両方の法律に違反した」──英議会
Facebookの商習慣を18カ月にわたって調査してきた英議会下院の委員会が、同社が故意にプライバシー保護と競争防止の両方の法律に違反したという結論に達し、ネット企業に対する強制力のある倫理規定が必要と主張した。
「Facebookのような企業が、自身を法を超越した存在だと考えデジタルギャングのように振る舞うことを許すべきではない」──。英議会下院のデジタル・文化・メディア・スポート委員会は2月18日(現地時間)、「Disinformation and ‘fake news’: Final Report」(リンク先はPDF)という報告書でこう語った。
18カ月にわたる調査結果をまとめた108ページに上るこの報告書で同委員会は、Facebookが故意にプライバシー保護と競争防止の両方の法律に違反したという結論に達し、英政府に対してより詳細な調査を求めた。また、Facebookおよびマーク・ザッカーバーグCEOが委員会からの質問に誠実に答えず、調査を意図的に妨害したと非難した。
ザッカーバーグ氏は委員会が再三証言を求めたが応じなかったとし、同氏は「世界最大級の企業トップに求められるレベルのリーダーシップも個人的な責任も示せていない」と評した。
同委員会は昨年末、この調査に関連して入手したFacebook関連の訴訟用資料の一部を公開。その理由を、Facebookにこの文書について問い合わせたが、率直な回答が得られなかったためとしていた。
この資料には、Facebookがユーザーに無断で通話履歴を入手する方法や、広告主へのユーザー情報の販売を検討していたことを示す社内メールなどが含まれている。
同委員会は報告書と共に、公開していなかった訴訟用資料も追加で公開した。
同委員会はネット企業の監視強化の必要性を指摘。企業による独自規制では不十分であるとし、強制力のある倫理規定を定めることを政府に要求した。
本稿執筆現在、Facebookはこの件に関し公式なコメントを公開していないが、同社の英公共政策マネジャーを務めるカリム・パラント氏は米TechCrunchに対し「委員会のフェイクニュースに対する懸念をわれわれは共有している」し、「18カ月の調査に協力し、700以上の質問に回答した」と語った。
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