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Google I/Oプライバシー関連まとめ──Chromeのcookie対策やシークレットモードGoogle I/O 2019

Google I/Oで発表されたプライバシー関連の取り組みをまとめた。「すべての人のためにより役立つGoogle」を目指すためにユーザーデータの収集は必要なので、データ収集に当たってはより安全に、透明性を強化していく。さらに、データを集めずに機械学習する「Federated Learning」も紹介した。

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 米Googleが5月7日(現地時間)から開催している年次開発者会議「Google I/O」で発表された、プライバシー関連をまとめる。

 米FacebookのCAスキャンダルをきっかけに、Google、Amazonなどのいわゆるプラットフォーマー企業による個人データの扱いについての懸念が高まる中、Googleは基調講演で具体的な対策を幾つか示した。

 スンダー・ピチャイCEOは基調講演のオープニングで、「われわれは人々が答えを見つけることを助ける企業から、物事を成し遂げるのを助ける企業にシフトする。今日は、ユーザーの信頼とプライバシーを基盤とする多数の製品を紹介する」と語った。

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プライバシーについて語るスンダー・ピチャイCEO

 また、「われわれはプライバシーとセキュリティがすべての人々のためにあると強く信じている。それが、Googleの各サービスにプライバシー機能を追加し続けている理由だ」とも語った。

 Googleは公式ブログでも「関連性の高い検索結果を表示することや、(Googleマップで)自宅への最短ルートを提示することなど、Googleのサービスをより便利にするためにデータが重要だ。そして、ユーザーである皆さんが自分のデータについて理解し、管理できる必要がある」としている。

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「すべての人々のためのプライバシー」

各サービスから1タップで「Googleアカウント」が開けるように

 Googleアカウントは、2015年に「アカウント情報」として立ち上げられた、Googleアカウントで使っているサービスやハードウェアでのプライバシー設定やセキュリティを一元管理するためのアカウント情報管理ツール。

 まずはGmail、Googleドライブ、連絡先、Google Payのページの右上のアカウントのプロフィール画像をクリック(タップ)すると、Googleアカウントへのリンクボタンが表示されるようになった。

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Googleドライブにも「Google Account」リンクがついた

 5月中に、検索、Googleマップ、YouTube、Chrome、Googleアシスタント、Googleニュースでも右上にプロフィール画像が表示されるようになる見込みだ。

 この新機能でGoogleアカウントへのアクセスが簡単になるだけでなく、サービスをログインした状態で使っているかどうかがすぐに分かるようになる。Googleは以前、Chromeブラウザで何らかのGoogleサービスにログインすると、Chromeにもログインしてしまう仕様を批判され、改善している

シークレットモードをGoogleマップと検索にも

 GoogleマップやモバイルのGoogle検索画面右上に前述のようにプロフィール画像が表示されるようになったら、この画像をタップすることで「シークレットモード」を選べるようになる。

 シークレットモードとは、現在ChromeブラウザとYouTubeで利用できる、サービスの利用履歴を保存しないモードだ。シークレットモードで検索した目的地やナビはGoogleアカウントに保存されない。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

ユーザー履歴の自動削除機能

 これはGoogle I/Oの直前に発表されたものだ。ユーザーが同社サービスを使った履歴を一定期間後に自動削除する機能を追加する(関連記事)。

Android Qのプライバシー強化

 アプリを起動していなくても位置情報が収集されているという批判を背景に、アプリが位置情報を取得する許可の選択肢として、「アプリ利用中のみ許可」を選べるようになる。

 この他、アプリの外部ストレージ(microSDなど)へのアクセス方法の変更、Wi-Fi(無線LAN)接続時にMACアドレス(ネットワーク機器固有のID)を仮想化する機能なども追加される。

ChromeのCookie管理改善と“fingerprinting”規制

 Cookieは、Webサイトを閲覧した際にWebブラウザ側で作成される、データを一時的に保管しておく仕組み(「ITりてらしぃのすゝめ」の記事より)。これを有効にしておくことで、一度訪問したWebサイトでの設定状態を保持できるというようなユーザーにとってのメリットもあるが、バナー広告の表示にも利用されている。

 従来のChromeのCookie設定は、有効か無効かで、無効にすると広告目的の個人特定可能なデータ収集を阻止できるが、Webサイトを再訪するたびにログインしなければならないなどの不便も生じる。

 “間もなく”、ドメイン間で機能するいわゆるクロスサイトCookieは、ユーザーが明示的に同意しないかぎり使えなくなる。また、クロスサイトCookieはHTTPS接続でのみ許可する。

 Googleはまた、“fingerprinting”を規制するとしている。fingerprintingは、Webサイトや広告主が、ユーザーに最適な広告を表示するために、使っているプラグインや拡張機能、画面の解像度など、Webブラウザに関する情報を収集するためのCookie以外の総称だ。具体的な対策方法や実施予定は不明。

 さらに、Chrome以外のWebブラウザでも使える広告関連の拡張機能を開発していることも発表した。この拡張機能は、ユーザーは広告主やメディアなど、広告のプロセス全体に関与している企業に関する情報をハイライトする。

個人データを保護しつつ機械学習するための「Federated Learning」

 Google翻訳やGboardなどのAI採用のツールは、ユーザーが入力するデータによる機械学習で精度が上がる。Googleは広告表示だけでなく、こうしたサービスの機能向上のためにユーザーのデータを収集し、匿名化して利用している。

 「Federated Learning」は、ユーザーのデータをクラウドに集める代わりに、機械学習モデルを直接ユーザーの端末に送る。クラウドには、データではなく、このモデルによる更新が送られる。この作業はユーザーが端末を使っていないときに行われる。

 Federated Learningは既にGboardで使われている。ピチャイ氏は、Gboardで新しい流行語などが比較的早く正しく変換できるようになるのはFederated Learningの成果だと説明した。何千人ものGboardユーザーが新語を変換した結果がFederated Learningで全ユーザーのGboardに反映される。

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Federated Learning

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