Googleのプライバシーへの取り組み、責任者に聞いた:Googleさん(2/2 ページ)
今年の「Google I/O」基調講演で、プライバシーにかなり時間を割いたGoogleさん。最高プライバシー責任者(CPO)のキース・エンライト氏に、あらためて取り組みや課題についてうかがいました。
この機能追加のきっかけの1つは、昨年8月にちょっとした騒ぎになった「位置情報をオフにしてもユーザーを追跡」報道のようです。これは「Location History(日本では「ロケーション履歴」)」という機能の名称やユーザーがサービスを横断して使う複雑さがもたらした誤解だったということで、ヘルプページもより誤解がないように改定されています。
Googleの便利なところは、カレンダーや連絡先、Googleマップ、Gmailなどを1つのアカウントで使うことで、サービス横断で情報が連携する点ですが、それだけに複雑で、誤解されやすい。新機能は、どのサービスからもGoogleアカウントにアクセスできるようにすれば、ユーザーはいつでもプライバシー設定を確認でき、理解しやすいだろう、という発想から生まれました。
でも、残念ながら、たぶん、ほとんどの人は、Googleマップの右上に自分のプロフィール画像が表示されるようになったことに気づきもしないんじゃないでしょうか。アイティメディアの記事を読んでくださるような皆さんは別として、「Googleアカウント」というサービスの存在を知っている人がどのくらいいるのか疑問です。
なので、前回のGoogleさんで紹介した「Googleは私の買い物履歴を知らないうちに追跡していて簡単に削除できない!」という記事(実際には「知らないうちに」ではないし、削除できないわけではないです)について、こういうユーザーとの認識ギャップをどうやって埋めていくんですか? と聞いてみました。
「あの記事は、Googleアカウントのショッピング履歴が、Googleがデータを悪用するのではないかという憶測による報道になった興味深い事例です。現在、あの機能をできるかぎりユーザーフレンドリーにするよう確認しています」とエンライトさん。
「私たちは、こうしたタイプのフィードバックを、メディアや、規制当局や、個人ユーザーからいただくたびに、問題を詳しく調べ、確認しています」とも。
「Googleの製品ポートフォリオの複雑さは多くの課題を生む可能性を持っていますが、Googleはこうした課題を受け入れます。なぜなら、私たちは、世界中のユーザーのためのプライバシー保護を強化できるリーダー的立ち位置にあると確信しているからです!」
なんか、かっくいい。どんなに非難されても、ユーザーデータを集めてそれに基づいて便利なサービスを提供することをこれからも続けるし、それを最善の形で実施できるよう解決策を模索していくからね、という宣言です。
少なくともGoogleは、ユーザーの信頼を裏切らないことがGoogleの利益になると理解しています。ただ、あまりにも複雑なサービスを提供しているので、意図せず裏切ったりしないようにするのは大変そうです。リーダー的立ち位置のGoogleさんが、この難しい課題にどう立ち向かっていくのか、これからも注目していきたいと思いました。
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