「成果を生み出すデータ分析組織」はここが違う リクルートのマネジメント術:これからのAIの話をしよう(マネジメント編)(3/3 ページ)
データサイエンティストを生かし、データ分析組織として成果を生み出すにはどうすればいいのか。リクルートテクノロジーズに聞いた。
マネジャー不足と若手の育成について
優秀な若手エンジニアを束ね、組織を力強く率いるマネジャーは、どの企業も不足しているように感じます。石川さんも若手の育成には課題を持っているようです。
石川さんは、「マネジャーやリーダーには、今後はこういう技術がはやりそうだ、この事業にこの技術を当てるとヒットするのでは、といった目利きが必要です。現場で経験をつませ、能力を発揮させるスパイラルがなかなかうまく回せていないところもありますね」と話します。
企業によっては社内でマネジメント研修をしている場合もありますが、石川さんは実務を通して広い視野を身につけてほしいと考えています。
「それぞれの得意不得意な点を見ながらタスクを振り分けていきますが、意図的にハードルの高い仕事や、責任を求められる仕事を担当させることもあります。サポート体制を整えた上で、若手に能力の限界を超える仕事をしてもらう。それが自信につながるので、その感覚をなるべく早く身に付けてもらいたいですね」(石川さん)
取材後記
取材の最後に、採用の面談も行うという石川さんに「今データサイエンティストの職に就きたいと考えている人たちは、何をすべきでしょうか」と尋ねると、次のような答えが返ってきました。
「気になる会社があるなら、その会社が抱えていそうな課題を自分なりに考えて、目に見える形のデモを作って面接で見せてみましょう。自分の実力をアピールできます」
簡単そうに聞こえますが、課題の発見からプロトタイプ開発までを行うのは、なかなか難しいものです。裏を返せば、面接官側もその内容やビジネスインパクトを正しく測る目利きが必要になるわけです。個人の採用も、組織作りの大切な要素です。こうした所からも組織作りの難しさが垣間見えるなと感じました。
著者プロフィール:松本健太郎
株式会社デコム R&D部門マネージャー。 セイバーメトリクスなどのスポーツ分析は評判が高く、NHKに出演した経験もある。他にも政治、経済、文化などさまざまなデータをデジタル化し、分析・予測することを得意とする。 本業はインサイトを発見するためのデータアナリティクス手法を開発すること。
著者連絡先はこちら→kentaro.matsumoto@decom.org
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