「雑務減らして練習増やす」「社内メール使いません」――東大アメフト部とメルカリの「Slack」活用術(2/2 ページ)
チャットツール「Slack」を提供する米Slack Technologiesが、カンファレンス「Frontiers Tour Tokyo」を開催。講演には東京大学アメフト部やメルカリなど、Slackと外部ツールを連携させている顧客が登壇。業務効率化などに役立つ活用法を紹介した。
メルカリは5年前から社内メール使わず、Slackに一本化
顧客企業が導入事例を紹介するセッションには、メルカリの長谷川秀樹CIO(最高情報責任者)が登壇した。東急ハンズの執行役員としてオムニチャネル化を推進した実績を持つ長谷川CIOは、約1年前に「世界一働きやすいIT環境を整備する」との目標を掲げてメルカリに移った。
だがメルカリは、約5年前から社内メールを使っておらず、全社の連絡手段をSlackを一本化している。そのため長谷川CIOは着任当初、Slackを使った働き方や意思疎通のスピード感に驚かされたという。
「Slackなどのビジネスチャットは、メールの『to』や『cc』の使い分け、『お世話になっております』といったあいさつを省略できるツールだと思っていた。だがそれは勘違いだった。メルカリのSlack上では複数のプロジェクトが並行して動いており、(議論が別々のチャンネルで)同時進行していた。カレンダーが会議の予定でブロックされることはほぼなく、議論はSlack内でどんどん進んでいた」(長谷川CIO)
同社は原則として、誰でも参加できる「パブリックチャンネル」でのやりとりを推奨しており、参加が特定のユーザーに限定される「プライベートチャンネル」はあまり使われていない。チャンネルへの招待・退出も自由にしている。議論はオープンになっており、誰でも会話内容を閲覧できるため、「後から誰かが『オレ聞いてません』『その資料読んでません』と言い出すケースはなかった」と長谷川CIOは断言する。
「Google ドキュメント」でリアルタイムに議事録作成
Slack内で情報共有がほぼ完結しているメルカリだが、テキストだけでは細かなニュアンスや文脈を伝えられない場合があるため、まれに会議やビデオ通話を行っているという。その際は後から議論の内容を確認できるよう、若手などが「Google ドキュメント」に議事録をまとめているとしている。
「SlackはGoogle ドキュメントと連携できるため、担当者は会議を聞きながらその場で議事録を更新し、チャンネルの参加者に公開している。参加者は記載内容に間違いがあればすぐに指摘できるため、後から『そんな発言していない』『そんなつもりで言っていない』と言い出す人もいない」(長谷川CIO)
「Unipos」と連携、Slackでピアボーナスを贈り合える
Slackに慣れ親しんだ長谷川CIOは現在、Googleドキュメントにとどまらず、多様な外部ツールをSlackと連携している。そのうちの1つが、従業員同士で少額のボーナスを贈り合えるサービス「Unipos」だ。長谷川CIOは、全社員に毎週500円相当のポイントを配布し、Slack上で同僚に贈れる仕組みを導入。ポイントがたまると、毎月の給与と一緒に振り込まれる仕様にし、社内コミュニケーションの活性化につなげているという。
メルカリはこの他、Slackと経費精算ツール「SAP Concur」を連携。従業員はSlack上のフォームに金額を記入すると、自動で経費精算フローに乗る仕組みを採用している。
従業員に配布している法人クレジットカードもSAP Concurと連携させ、社員がカードで経費を使った場合は、Slackのbotから「2日前に○○で△△を購入しましたね?」とリマインドする流れにしている。
長谷川CIOは「(リマインドの)ファーストタッチは秘書から来てくれるとうれしい。でも、月末に『ちゃんとしてるか?』とリマインドするだけでは、経費申請のフローが形骸化してしまう」とし、社員が申請を忘れないよう、botが話し掛けるペースを工夫していることを明かした。
メルカリはこれ以外にも、社員がSlack上のbotに「いでよ公開数字」「座席表くれ」「いでよ会社資料」などと、必要な資料名に「くれ」「いでよ」を付けて話しかけると、必要なファイルを送ってくれるアプリなどを自社開発。バックオフィス業務がSlack内で完結するようにし、長谷川CIOが掲げる「世界一働きやすいIT環境」の実現に向けてまい進しているという。
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