ドライバーの疲れを検知、空調など自動調節 近未来のクルマの運転席、三菱電機が開発
三菱電機が近未来の自動運転車の運転席を想定したコンセプトキャビン「EMIRAI S」を発表。最新のヒューマンセンシング技術と音声認識技術に対応し、ドライバーの体調に応じて車内環境を自動調整する機能などを持つ。デモを体験できるブースを東京モーターショーに出展する。
三菱電機はこのほど、近未来の自動運転車の運転席を想定したコンセプトキャビン「EMIRAI S」を発表した。ヒューマンセンシング技術と音声認識技術を活用し、ドライバーの体調に応じて車内環境を自動調整する機能や、体調不良時に自動停車する機能などを持つ。運転席自体の商品化は予定していないが、自動車メーカーなどを対象に、個々の技術を2020年以降に販売する計画だ。
EMIRAI Sは、天井に温度センサー、座席正面の車載ディスプレイと座席の横に近赤外線カメラを搭載し、非接触でドライバーの脈拍を計測する。撮影した映像から人の顔を検出し、動きを追尾できるため、顔が動いた場合でも計測の精度を保てるという。
ドライバーの疲労や眠気を検知し、体調に応じて空調、照明、音響を自動調整したり、体調が悪化した場合に安全な場所に自動停車したりすることも可能としている。
座席の横には小型マイクも搭載。カメラが撮影した車内映像と、マイクで集めた会話内容を組み合わせて分析し、どの座席の人がいつ何を話したかを判別できる。それぞれが話した内容を意味するアイコンを自動生成し、車載ディスプレイ上に表示することも可能という。
例えば、ドライバーが「タピオカミルクティーを飲みたい」、助手席に座っている人が「チーズケーキを食べたい」と話した場合、2人の会話内容を聞き分け、タピオカやチーズケーキをイメージした画像を車載ディスプレイに表示し、会話を円滑化するという。将来は、アイコンをタップすると近隣の店舗を予約できる仕組みの導入も視野に入れている。
車載ディスプレイには、2枚の液晶パネルとハーフミラーを組み合わせた「ワイドクロッシングディスプレイ」を採用し、浮遊感と奥行き感のある映像を表示できるようにした。ハンドル横には、触れる、回す、押すなどの操作に対応した「リングノブオンディスプレイ」を搭載し、直感的な操作を実現したとしている。
三菱電機は一連の機能を体験できるブースを、都内で開かれる「第46回東京モーターショー2019」(10月24日〜11月4日)に出展する予定だ。
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