古地図に記された災害の記憶 旧地名はスマホで確認できる(2/2 ページ)
前回、紹介した「ハザードマップ」と併せて利用したいのが、過去の地名や建造物が記された古地図を見られるWebサイトやスマートフォンアプリだ。先人が残したさまざまな情報が詰まっている。
地域別に提供されている古地図アプリを活用
スマホアプリでも古地図を見られるものは多い。例えば「東京時層地図」(iOS/Android)というアプリでは、文明開化期、明治の終わり、関東地震直前、昭和戦前期、高度成長前夜、バブル期、現代と7つの時期の古地図を現代地図に重ねられる。今昔マップ on the Webのように異なる時代の地図を横並びで比較したいときはiPad版を利用すればいい。姉妹アプリとして横浜の古地図を収録した「横濱時層地図」(iOS)というアプリもある。
スマホ用の古地図アプリは地域別に提供されていることが多く、東京のほかにも金沢の古地図を収録した「古今金澤」(iOS/Android)や、山口市の古地図を見られる「明治維新150年の山口市を旅するアプリ」(iOS/Android)など、各地でさまざまなアプリが提供されているので、自分が住む街の古地図アプリがあるかどうか、アプリストアで検索してみてはいかがだろうか。
このほか、複数の地域の古地図を収録したアプリとしては、「Ambula Map」(iOS/Android)というアプリがある。同アプリは、歪みのある昔の地図を、現在の地図と違和感なく重ねられる「maplat」というオープンソース技術が使われているのが特徴だ。兵庫県丹波市柏原町や長野県松代町、京都府亀岡市、京都市などの古地図を収録している。
誰でも文字が読める「描き起こし」の古地図
これまで紹介したWebサイトは、どれも昔の古地図をそのままデジタル化したものだ。当然、中には現在の地図と位置がズレていたり、文字の判別が難しかったりする場合もある。そこで最近では、古地図を基に現代の地図に合わせて新たに描き起こした古地図アプリも登場している。
「大江戸今昔めぐり」(iOS/Android)は、現代の地図を基に江戸末期の地図を再現したアプリ。地図の透過度を変えても、現在の地図とズレが生じないことに加え、旧字で書かれた古地図の中の文字が新字体に直してあるので簡単に読める。
地図サイト「MapFan」のラボサイトで提供されている「古地図 with MapFan」も、現在の地図から昔の地図を描き起こしたものだ。収録したエリアは都内の一部に限られてはいるものの、江戸時代の地図に加え、東京オリンピック前の1962年の地図を描き起こしている。
今回は災害の記憶をテーマに古地図アプリやWebサイトを紹介してきたが、古地図にはそれに止まらない情報と魅力がある。現代の地図と見比べ、先人たちの暮らしに思いをはせるのも良し。その地域への理解も深まるはずだ。
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