東芝子会社で複数年にわたる架空取引 19年度上半期に約200億円を過大計上 総額は調査中
東芝ITサービスで実在すると確認できない取引が複数年にわたって行われていたことが判明。2019年度第2四半期累計期間(19年4〜9月)に売上高として約200億円が過大計上された見込み。事実関係や、複数の会計年度にわたる売上高・損益への影響は調査中。
東芝は1月18日、連結子会社の東芝ITサービスで、実在すると確認できない取引が複数年にわたって行われていたと発表した。このうち、2019年度第2四半期累計期間(19年4〜9月)に売上高として約200億円が過大計上された見込みで、対応策として第3四半期に消去する方針という。
東芝ITサービスはハードウェアの保守などを手掛けている。同社で不適切な取引があるとの情報が東芝に寄せられ、弁護士や公認会計士などの外部専門家を含めて調査した結果、架空取引の存在を認識したという。事実関係や、複数の会計年度にわたる売上高・損益への影響は調査中としている。
東芝ITサービスと架空取引があったとみられる関係者の間には、未精算の債権債務関係が一部残っているというが、この処理方法は現時点では未定。
東芝では15年に不適切会計が発覚し、17年に東証2部に降格。その後は早期の1部復帰を目指していたが、今回の問題で審査に影響が出る可能性もある。
代表執行役を交代 綱川氏が会長、車谷氏が社長に
東芝は1月18日に、代表執行役を交代する人事を併せて発表した。代表執行役COO(最高執行責任者)の綱川智氏と代表執行役副社長の秋葉慎一郎氏が3月31日付で退任する。4月1日付で綱川氏は取締役会長、秋葉氏は子会社東芝ビジネスエキスパートの取締役に就く予定だ。
綱川氏の退任後は、現・代表執行役会長兼CEO(最高経営責任者)の車谷暢昭氏が、代表執行役社長兼CEOに就く。車谷氏は元三井住友銀行副頭取で、東芝上層部としては珍しい外部出身者。経営再建に向け、18年に会長として招かれた人物だ。
新任の代表執行役はこの他、豊原正恭氏(代表執行役副社長)、櫻井直哉氏(代表執行役専務)、畠澤守氏(同)の3人。
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