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JASRAC対音楽教室、地裁判決は順当かナンセンスか 「一般人の常識に即した裁判」の論点を整理する(3/3 ページ)

音楽教室がJASRACに音楽著作権の使用料を支払う必要があるかが争われた訴訟で、東京地裁が音楽教室側の訴えを棄却した。この判決は現在、SNSなどで賛否両論を呼んでいる。本記事では、著作権者や法律家などへの取材をもとに、地裁判決の論点を整理し、判決の妥当性を考察する。

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「一般人の常識」とは?

 有識者からこうした疑念が出ているものの、JASRACが開いた記者会見で、代理人である田中豊弁護士は裁判所の判断を評価し、開口一番「著作権法の観点からだけでなく、一般人の常識にも合致するものである」とコメントしていた。

 確かに、前述の音楽プロデューサーの意見を鑑みると、楽曲の権利者は、自分の楽曲を音楽教室に勝手に教材として使われ、利益を上げられるのは避けたいはずだ。そして、JASRACは彼らの権利を守るために著作権使用料の徴収を試み、裁判所はそれを認めた。著作権法の観点からは、今回の判決は妥当な判断にも思える。

 一方で、有識者だけでなくネットでも、この裁判所の判断に疑問を呈する声は多い。特にネットでは、「営利事業としての音楽レッスンであっても、“教育”に使う音楽に使用料の支払いが課されるのはおかしい」と考える人が多いようだ。

 田中弁護士の言う「一般人の常識」とは何なのだろうか。同氏の心中までは分からないが、少なくとも今回の判決は、著作権法の在り方と、一般市民の考え方にズレがあることを浮き彫りにしたといえる。再審ではどのような判決が言い渡されるのか、今後の動向を注視したい。

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