3Dプリンタでマスクや人工呼吸器が作れる モデルデータ続々配布
新型コロナウイルス感染症の拡大やマスク不足を受け、3Dプリンタで印刷できるマスクや人工呼吸器の3Dモデルデータを配布する企業や医療関係者が現れ、3Dプリンタの活用が進んでいる。
新型コロナウイルス感染症の拡大や、マスクの不足を受け、3Dプリンタの販売事業者や医療関係者などが、3Dプリンタで作れるマスクや人工呼吸器の3Dモデルデータを配布している。
3Dプリンタ関連の事業を手掛けるイグアス(神奈川県川崎市)は3月、顔の輪郭を3Dスキャナーなどでスキャンして設計したマスクを開発。3Dモデルデータを無償で公開した。
3Dプリンタやゴムひもなどがあれば、自宅でマスクを自作できる。口が当る部分は網目状になっており、布やガーゼ、紙などを当てて使える。配布データは男性用と女性用、子ども用で、それぞれ厚手と薄手を用意している。
イグアスによると、ダウンロード数は1週間あまりで7000回に上るという。実際に作ったユーザーからは「思ったより息苦しくなくて良かった」「出力に5時間かかった」などの声が上がっている。
イグアスでは現在、繰り返し使えるよう柔らかいナイロン素材を使って水や洗剤で洗えるマスクを作っている。「3Dプリンタでは量産が難しいため販売は検討中」(イグアス)。
3Dプリンタで作れる人工呼吸器も
新型コロナウイルス感染症の治療で使われている人工呼吸器も3Dプリンタで作ろうという試みが始まっている。国立病院機構新潟病院の石北直之医師は、3Dプリンタで作れる人工呼吸器を発明。広島大学の木阪智彦准教授と「COVIDVENTILATOR」プロジェクトを立ち上げ、モデルデータの無償配布を始めた。
COVIDVENTILATORプロジェクトでは、3Dプリンタで出力した人工呼吸器を医療機器として認証させる手続きを行う他、人工呼吸器を必要とする国や地域での認可、品質管理などを行う。クラウドファンディングによる資金提供も呼びかける。
石北医師はTwitterで、人工呼吸器を印刷してくれる3Dプリンタユーザーを募集している。ユーザーが作った人工呼吸器の画像を、使用機材や3Dプリンタの設定とともにハッシュタグ「#covidventilator」を付けてツイートすると、石北医師らが確認する。十分なクオリティーであると判断した場合は契約を交わして作成に協力してもらう。
このプロジェクトには、タレントの劇団ひとりさんも協力を表明しており、Twitter上で話題になっている。
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