Zoom、パスワード強化と「待機室」追加 “Zoombombing”対策で
新型コロナの影響でユーザーが急増し、セキュリティやプライバシー問題が浮上しているWeb会議サービス「Zoom」に、招かれざる参加者によるいたずら“Zoombombing”を防ぐ2つの機能が追加された。パスワード強化と、参加者を入室前にチェックするための「待機室」機能だ。
Web会議サービス「Zoom」を運営する米Zoom Video Communicationsは4月4日(現地時間)、ミーティングに悪意を持って入室し、不適切な画像を共有するなどのいわゆる「Zoombombing」を防ぐための2つの新機能を5日から有効にすると、サポートページ(本稿執筆現在、英語のみ)で発表した。会議室パスワードの強化と「待機室」機能だ。
いずれの機能も無料プランと個人向け有料プラン「プロ」でデフォルトで有効になる。
Zoomでは既に、新規に開くミーティングのスケジュール設定、即時ミーティング、パーソナルミーティングIDにパスワードを設定できるようになっている。5日からは、これがデフォルトで有効になり、以前スケジュールしたミーティングのパスワードも有効になる。
「Waiting Room(待機室)」は、ミーティングの主催者が準備している間、参加者をバーチャルな待機室で参加を待たせておく機能。
参加者がエントリーすると一旦待機室に入り、主催者が許可するまでミーティングに参加できない。主催者は、参加者を確認しながら入室許可する。一括で許可することも可能だ。
なお、待機室機能についてはカナダのトロント大学の研究者が脆弱性をZoomに指摘しており、Zoomがこの脆弱性に対処するまでは待機室機能を無効にし、パスワードだけを使うようユーザーに勧めている(関連記事)。
Zoomは元々は企業ユーザーの管理者が管理することを前提に開発されたWeb会議サービスだが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックで在宅時間が増えた個人が人と繋がるためのツールとして使うようになり、想定した層ではないユーザーが急増。企業内での利用では問題になりにくいであろうZoombombingやUNCのハイパーリンク化などが問題になっている。
Zoomによると、2019年12月末の時点で約1000万人だったユーザー数が、3月には2億人以上に増加したという。
【更新履歴:2020年4月5日午前7時20分 トロント大学による脆弱性指摘についての1文を追加しました。】
関連記事
- Zoom、北米のWeb会議の暗号キーを誤って中国データセンター経由にした問題について説明
Zoomの暗号化について調査していたトロント大学の研究者が、会議の暗号キーが中国のサーバを経由していたことを確認し、その危険性を指摘した。Zoomはこれを受け、誤ってジオフェンシングをしそこねていたが、実装したと説明した。 - ZoomのCEOが一連の問題について謝罪 修正と透明性を約束
新型コロナの影響でユーザーが急増したWeb会議サービスZoomで次々と明らかになった問題について、創業者CEOが謝罪し、向こう90日間リソースを集中して対策に取り組むと約束した。過去3カ月でユーザー数は1000万人から2億人に増加したという。 - ZoomのMac版、インストール時にマルウェア的な挙動 セキュリティ専門家が指摘
ZoomのMac版のインストールプロセスが、Appleのセキュリティを回避する一般にマルウェアで使われる動作になっているとセキュリティ専門家が指摘。ZoomのCEOはWeb会議参加までのステップを簡単にするためだったが改善すると表明した。 - 「Zoom」の「Web会議をエンドツーエンドで暗号化している」表記は誤解を招くと専門家
新型コロナ対策でユーザーが急増中のWeb会議サービス「Zoom」。公式サイトには「すべてのミーティングに対するエンドツーエンドの暗号化」とあるが、実際にはそうではないとInterceptが報じた。 - ZoomのFacebookへのデータ転送(停止済み)で集団訴訟
新型コロナ対策の在宅勤務でユーザー急増中のWeb会議サービス「Zoom」の運営会社が、iOSアプリでユーザーに無断でユーザーデータをFacebookに転送していたとして集団訴訟を起こされた。「Facebook SDK」を採用していたためで、指摘を受けたZoomは既にデータ転送を停止している。 - 新型コロナでビジネスアプリ需要が急増 「ZOOM」はイタリアで55倍に──App Annie調べ
新型コロナウイルス感染症対策の自宅待機令やロックダウンが拡大する中、テレワークに必携のビジネスアプリの世界でのダウンロード数が急増している。App Annieによると「ZOOM」のダウンロード数は例えばイタリアでは55倍になった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.