接客中にパンツ脱ぐ客も……ハプニングもあるが人気の「Zoomキャバクラ」 店主と嬢の波乱の自粛期間(3/4 ページ)
4月にオープンし、ネットやメディアで話題の「ズムキャバ」。Zoomを使って女性店員がリモート接客するキャバクラだ。変わった性癖の客が現れるハプニングもあるが、新型コロナウイルスの影響で仕事が減った“キャバ嬢”が活躍しているという。創業者のAさんと店員のMayuさん、楓さんに、波乱に満ちた日々のエピソードや売り上げを得る工夫を聞いた。
ツールはあえてZoomだけ
ズムキャバの人気を支えているのはネットの活用だ。Twitterでは約2300人のフォロワーを抱え、出勤する女性の情報やイベントなどの告知を頻繁に行っている。新型コロナ禍を機にリモート接客を始めたキャバクラは他にも数店舗あるが、フォロワーはそれぞれ数百人程度にとどまり、ズムキャバは告知などの拡散力で大きな差をつけている。
Aさんは「同じアイデアを考えた人は多いかもしれませんが、他の人よりも早く行動を起こしたスピード感がバズり、注目度アップにつながったのかもしれません」と話す。
使えるツールをあえてZoomに絞り、Zoomを連想させるキャッチーな店名にしたことも、ネットで話題を呼んだ一因だとAさんはみている。「ツールは正直、何でもよかったです。テレワークの普及に伴ってZoomが話題になり、『Zoom飲み』が流行していたので、その流れに乗っかるためにZoomに特化しました」
店員には意外なデメリットも
ただし、オンラインであることはメリットばかりではない。店員がより多くの指名を得て“成り上がる”には、どれだけ新しい客と知り合うかがカギで、実店舗では複数の客のテーブルを回りながら接客することで名前を売れる。一方、リモートでは1対1が基本で、効率よく新規の客と知り合うのが難しいという。
楓さんは「働く上での便利さはズムキャバですが、(稼ぎやキャリアの)伸びしろがあるのは実店舗かもしれません。実店舗ではテーブルを行ったり来たりできますし、チップをくれるお客さんもいます。実店舗の方が稼げていたのは確かです」と話す。「今後は実店舗で働きつつ、お客さんが来ない時はズムキャバで働くことを考えています」という。
Mayuさんも「実店舗の方が稼げてましたね。それに、銀座の水商売の世界には独特の文化があって、オンラインで接客していると周囲の同業者から批判される場合もあるんです」と明かす。「ただ、私はキャバクラで働きながらバックパッカーをしていて、ズムキャバではドレスが1着あればどこからでもリモートで働けるので、辞めないと思います」
吉野家や松屋ではなく、叙々苑のような存在に
Aさんもこうした課題を把握しており、30分おきに店員が交代するサービスを始めるなど対策を練っている。他店舗は1時間当たり2000円〜3000円程度の料金を設定している中、ズムキャバではやや高めの料金を設定。さらにズムキャバとラグジュアリーの2ブランド体制を採っていることも、店員の稼ぎを確保するための工夫だ。
「確かに、高級店の子の中には『待遇面やブランディングの面がちょっと引っ掛かる』と感じる人もいたようです。そうした子を取り込むために。高級感のある2号店(ラグジュアリー)を出店しました。他店舗と“吉野家と松屋”のような戦いはしたくない。値段も張るけど質もいい、叙々苑のような存在になりたいです」とAさんは話す。
料金が安いと、女性に支払う給料も大幅に下がり、接客の質やモチベーションに影響する。こうした事態を避けるため、一定の料金水準を保ちたいというのがAさんの考えだ。
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