トランプ氏の投稿放置でFacebookのザッカーバーグCEOと一部従業員が対立
Twitterは非表示にしたトランプ大統領の投稿をFacebookでは放置する決定をしたことに従業員が抗議したことを受け、ザッカーバーグCEOがオンライン全社会議を開催した。会議でもその決定を変えるつもりはないと説明し、少なくとも2人の従業員が抗議のために退社した。
米Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは6月2日(現地時間)に開催したオンライン全社会議で、米Twitterは非表示にしたドナルド・トランプ米大統領の投稿をそのままにする決定を変えることはないと語った。全社会議の記録を入手したという米The Vergeが報じた。
ザッカーバーグ氏は自身のFacebook投稿と同じ説明を繰り返し、この決定は正しいと主張した。
「この決定が社内の多くの人々を混乱させ、メディアから批判されることは分かっていた」と同氏は語った。この全社会議は、複数の従業員がTwitterなどで決定に反対を表明し、バーチャルストライキを行ったことを受け、前倒しで開催された。
従業員の1人は「なぜ世界で最も賢い人々(Facebookの幹部を指す)が、社会的問題を解決しようとせず、トランプ氏の機嫌を損ねないようわれわれのポリシーをねじ曲げようとするのか?」と尋ねた(回答は不明)。
ザッカーバーグ氏は、米国で内乱が長期にわたった場合、暴力を助長する可能性のある投稿の制限あるいはラベル付けに関するポリシーを再検討する可能性があると語った。
この全社会議の後、少なくとも2人の従業員が抗議のために退社するとLinkedInやFacebook、Twitterで宣言した。
Facebookの誤情報対策を担当していたソフトウェアエンジニアのティモシー・アヴェニ氏はLinkedInで、「今日辞表を提出した。Facebookが大統領の偏狭な投稿に対処することを拒み続けることが我慢できない。我が国の危険が増している現状に同社が挑戦しないことに恐怖を感じている」と記した。
アヴェニ氏はFacebookでは、「マーク(ザッカーバーグ氏)はいつも、暴力につながる発言には一線を引くとわれわれに言っていたが、これが嘘だったことがはっきりした。Facebookはトランプ氏が過激化するたびにゴールポストを動かし続け、言い訳をし続けている」と語った。
PyTorch JITチームのマネジャーを務めていたオーウェン・アンダーソン氏は「今日でFacebookの従業員を辞めると発表することを誇りに思う」とツイートした。
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