Red Hatが「コンテナと仮想マシンの一体化」に本格進出 VMwareのアプローチとの違いは?(1/4 ページ)
米Red Hatが今春から、コンテナと仮想マシンを一体化する事業領域に進出。4月のイベントで「どこにいてもイノベーションを起こせるようにする」をテーマに、コンテナ基盤「Red Hat OpenShift」の最新バージョンなどを発表した。同社の幹部は、競合するVMwareと比較した上での優位性を強調するが、両社のアプローチにはどんな違いがあるのか。
去る4月末、米Red Hatはバーチャルカンファレンス「Red Hat Summit 2020 Virtual Experience」で、コンテナ基盤「Red Hat OpenShift」(以下、OpenShift)の最新バージョン「Red Hat OpenShift Container Platform 4.4」などの新ツールを発表した。これらの開発コンセプトは「どこにいてもイノベーションを起こせるようにする」。サーバレス技術などに対応し、クラウドネイティブなアプリケーションを開発できるのが特徴だ。
Red Hatはこうした新ツールを打ち出すことで、コンテナと仮想マシンを一体化して活用する領域での製品ラインアップを強化した。この領域では、すでに米VMwareが事業を展開しており、Red Hatは競合として戦っていくことになる。
このライバル関係について、Red Hatのブライアン・グレイスリー氏(製品戦略ディレクター)は「Red Hatにはコンテナ、Kubernetesに関する経験が既に5年以上あり、2000社以上の顧客が市場でOpenShiftを利用している。われわれにはコンテナの潤沢な経験、知識の蓄積がある。VMwareは、コンテナの製品を出したばかりで経験が不足している」と強気な見方を示す。
グレイスリー氏によると、Red HatがOpenShiftを顧客に提供してきた5年の優位性は、他のどのベンダーも早々追い付けるものではないという。では、そんな同社が自信を持って打ち出したツール群とはどのようなものか。
OpenShiftの最新版で、仮想マシンとコンテナを統合した運用管理を可能に
OpenShift 4.4は、コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes 1.17」をベースとしたもので、5月5日にリリース。今回のバージョンからOpenShiftをRed Hatの仮想化環境「Red Hat Virtualization」上にも配備できるようになり、OpenShiftを動かすインフラの選択の幅がさらに拡がっている。
同ツールはサーバレス技術の「OpenShift Serverless」に新たに対応している。これによってユーザーは、サーバのリソースに依存することなく、イベントやリクエストに応じてコードを実行する、サーバレスなアプリケーション開発が可能となった。
新たにJava Runtime環境(Java言語で開発されたアプリケーションを動かすための実行環境)も提供され、クラウドネイティブなアプリケーション開発を支援するための機能が追加されている。
Red Hatのジョー・フェルナンデス氏(クラウドプラットフォーム部門製品担当バイスプレジデント)は「Kubernetesのプラットフォームとして、クラウドはもちろん、エッジでもOpenShiftを利用する事例が増えている」と言う。
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