電子チケットで行列ゼロ! 米ディズニーランドの「スター・ウォーズ」エリアに見る、テーマパークのスマホ活用の未来:テック・イン・ワンダーランド(2/3 ページ)
2019年に米ディズニーランドにオープンしたテーマエリア「スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ」。ここでは、ゲストのスマートフォンを使い、行列ゼロを実現している。ディズニーの大ファンであるITジャーナリストの宮田健氏が、その仕組みと魅力を徹底解説する。
ライズ・オブ・レジスタンスに込められた、アトラクション演出技術の集大成
では、ライズ・オブ・レジスタンスの内容を見ていきましょう。このアトラクションではライドに乗り、以下の6エリアを巡ります。
- 惑星バトゥーの街、ブラック・スパイア・アウトポスト(アトラクション外)
- 森の中に隠されたレジスタンスの秘密基地(アトラクションエントランス&キュー)
- レジスタンス秘密基地にあるスペースポート(アトラクションプレショー)
- 宇宙に浮かぶスター・デストロイヤー(アトラクションプレショー/メインショー)
- ブラック・スパイア・アウトポストへの期間(アトラクションメインショー/ライド終了)
そして、ゲストがこれらの世界に“行って帰る物語”を楽しめるよう、ディズニーは工夫を凝らしています。
「行く物語」を丁寧に演出
例えば、このアトラクションはライドに乗るまでの「プレショー」が非常に長いです。通常のアトラクションであれば、キューライン(行列)を経て、ちょっとした映像を使って説明が入り、そこからライドに乗るという手順を踏みます。しかしここでは、ゲストはキャスト(スタッフ)とともにライドまでの長めの通路を歩きます。通路の所々にはドアがあり、それをくぐるごとに視界が大きく変わるため、ゲストからは時にため息に近い歓声が上がります。
ゲストはプレショー中に「輸送船」に乗り、敵の巨大宇宙船スター・デストロイヤーに入り込みます。これまでの旅を経てはじめて、やっとメインショーが始まります。
乗り物の仕組みは「プーさんのハニーハント」でもおなじみの、ライドが自走して複雑なルートをレールなしに移動する方式を採用しています。メインショーのスター・デストロイヤー内では、巨大な大砲から攻撃されるだけでなく、エピソード7〜9の悪役カイロ・レンから追いかけられるなどの冒険が待っています。
このアトラクションには、エントランスを抜けるやいなやライドに乗せられ、すぐに動き出し、いきなり重要なシーンを見せられる――といった雑な要素はありません。テーマエリアとしての没入感を崩さないよう、ディズニー側はとても気を遣っているのです。
「帰る物語」ではエキサイティングな演出も
「帰る物語」の演出はどうでしょうか。プレショーで非常に凝った形で「行く」を演出したからには、どうやって宇宙から惑星バトゥーに「帰る」かが課題になりますが、ディズニーは非常にクリアな答えを見せてくれています。
ヒントは、日本でもおなじみの既存アトラクション、「スター・ツアーズ」と「タワー・オブ・テラー」。スター・ツアーズはゲストが乗る宇宙船が映像に合わせて揺れ、高い没入感を実現します。タワー・オブ・テラーはエレベーターのかごが自走し、それが上下に揺れる機構を採用しています。
ライズ・オブ・レジスタンスでは、これらを組み合わせた動きを楽しめます。スター・デストロイヤー内にとどまったライドは、ギリギリのタイミングで脱出ポッドに乗り込み、惑星バトゥーへひとっ飛び……。詳細な仕組みはぜひ現地で体験してもらいたいのですが、まるで映画のような“帰還”が味わえます。
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