コロナ禍の婚活アプリ、“相手を絞る”が恋の近道? 数撃つとリスク増、「本音で話せる人を」と識者ら提言
アフターコロナのマッチングアプリで恋人を作るには、より出会いを絞ることが重要になるという。新型コロナウイルスの影響で、外で異性と会うこと自体が感染リスクになっているため、慎重に出会いを求める人が増えている。
「アフターコロナのマッチングアプリで恋人を作るには、より『出会いを絞る』ことが重要になっていく」──ジャーナリストの白河桃子さん(相模女子大学特任教授)は6月25日、マッチングアプリ「Pairs」を運営するエウレカが開いた発表会でこう語った。
新型コロナウイルスの影響下では、外で異性と会うこと自体が濃厚接触のリスクになる。そのため、できる限り多くの人とマッチングし、直接会った上で、交際相手を決める手法はちょっと危険だ。ネットの出会いとはいえ、自分に合う人を絞り込みながら活動することが、恋愛と感染予防を両立する上で大切だという。
価値観の合う人を探すには、アプリで出会った人と表面的なコミュニケーションに終始するのではなく、自分をさらけ出す方がよいという。「一般受けを気にして『映画が好き』と言うのではなく、『鬼滅の刃にハマっている』と本音が伝えられる環境が望まれる」と白河さんは話す。
エウレカの石橋準也CEOも「コロナ禍の影響で、利用者は今までより慎重に出会いを求めている」と明かす。「Pairsなどのマッチングアプリでは手軽に多くの異性と出会えてしまうぶん、(本当に合う相手と出会うために)条件を絞って相手を探しているのではないか」という。
こうした傾向は、エウレカの調査からも確認できる。同社が20〜39歳の未婚男女200人に、コロナ禍の前後での恋愛観の変化を聞いたところ、全体の18%が「恋愛で大事なことや理想の恋愛の形が変わった」と回答。回答者は、収入や職業などの経済的な安定性に加え、性格や価値観の一致を重視するようになったという。
在宅勤務の普及が日本人の恋愛・結婚観に与える影響も少なくないようだ。ジャーナリストの治部れんげさん(東京大学大学院情報学環客員研究員)は「在宅勤務の場合、夫婦が一緒に過ごす時間が格段に増加するため、より気の合う相手を求めるようになる」と指摘する。
これらの意見や調査結果を受け、エウレカは今後、異性に本音を伝えやすくなる機能をPairsに追加する方針。石橋CEOは「ユーザーが本音を伝えられる環境作りがマッチングアプリ市場の課題になっていく」「Pairsではユーザーが気軽に恋愛の入り口に立てる仕組みを作ることで課題を解決したい」と展望を語った。
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