AIが“世代のトレンド”をクラフトビールに 雑誌をもとに風味を数値化 世代ごとに4種類
NECらが、各世代のトレンドをAIで風味に反映したクラフトビールを開発。雑誌の画像や文章を味や香りとして数値化し、その結果を職人が再現した。20〜50代の世代ごとに4種類の味を取りそろえる。
NECとコエドブルワリーは7月15日、AIが雑誌の画像や文章を味や香りとして数値化し、その結果を職人が再現したクラフトビール「人生醸造クラフト」を開発したと発表した。20〜50代の各世代が経験したトレンドに合わせて学習データを変えた4種類の味を取りそろえる。ECサイト「コエドブルワリーオンラインショップ」で、缶ビール4種セットを1400円(税別)で販売する。
AIの学習データには「DIME」や「女性セブン」など、小学館が過去40年に発行した15誌4000冊のデジタルデータを利用。味・香り・色ごとに、NEC製のAI「NEC the WISE」に別のデータを学習させ、各世代のトレンドを反映した。
味の数値化には、「CanCam」などの雑誌に掲載された600種類のファッションを、人が雰囲気や色合いごとに甘味・辛味・酸味・苦味に分類したデータを利用。例えばVネックは辛味、ピンクは甘味といった具合だ。これを教師データとしてAIに学習させ、各世代が「現在読んでいる記事」の画像データから、それぞれの味を決めた。
香りの数値化には、それぞれの世代が20代から現在までに読んでいた雑誌の文章を利用。意味の近さを基準に、AIが記事中の単語を「フェノール」「フルーティー」「キャラメル」など5種類のカテゴリーに振り分け、各カテゴリーに属する語数に応じて香りのバランスを決めた(例:「メラニン」はフェノール、「ビール」はアルコール)。
色決めには、各世代が20代だったころに読んでいた雑誌記事のファッション画像を使用した。学習データを基に、AIが各世代で流行していた服のイメージ画像を生成。その色味をビールに反映した。
例えば、30代のトレンドを反映した「〜30's BLUE〜」はフルーティかつ苦めな風味に、40代のトレンドを反映した「〜40's YELLOW〜」は甘さの強い風味になったという。
NECの茂木崇さん(IMC本部シニアマネージャー)は「色・香り・味の順に各世代にとって古いデータを用いている。この順番で風味を味わうことで、人生や世代を振りかえるようにビールを楽しめる」「オンライン飲み会を含む職場の懇親会や、親子の世代間コミュニケーションに活用してほしい」と話している。
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