Apple、Epicが規約違反前に「フォートナイト」の特別扱いを求めたと裁判文書で説明
Epicが、App Storeのガイドライン違反で「フォートナイト」を削除したAppleを提訴した裁判で、Appleが裁判文書を提出。EpicのCEOが6月、Appleの幹部にApp Storeでの特別扱いを求めるメールを送ったがAppleがこれを拒否した経緯も説明した。
米Appleは8月21日(現地時間)、米Epic Gamesが13日にAppleに対して起こした訴訟(訴訟番号4:20-cv-05640)で初の裁判文書(リンク先はPDF)を提出した。
この文書でAppleは、EpicがAppleのApp Storeのガイドラインに違反している以上、Epicが裁判所に求めている「Fortnite」をApp Storeで復活させるための一時的差し止め命令を却下するよう求めた。
Appleはこの文書で、Epicのティム・スウィーニーCEOから受け取ったというメールの内容を開示した。
6月30日付のメールでスウィーニー氏はティム・クックCEOやフィル・シラー上級副社長(当時)を含むAppleの幹部に対し、EpicのiOSアプリの提供方法を根本的に変えるための特別契約を結ぶというAppleからの「サイドレター」を求めた。
Appleは返信で、App Storeの「ルールはAppleプラットフォームの健全性に不可欠であり、消費者と開発者の双方に利益をもたらすと確信している」とし、Epicを特別扱いする求めを拒否した。
スウィーニー氏は次に、フォートナイトにApp Storeの規約に反するアップデート(支払いシステムの変更)を追加した8月13日にメールで、「EpicはもうAppleの支払い制限に準拠しない」と告げた。
Epicは訴状(リンク先はPDF)で、裁判所が差し止め命令を出さなければ「回復不能な痛手」を負うと主張しているが、Appleは「Epicが言う“痛手”はガイドラインを守ることで完全に回復可能だ」と主張する。「Epicは緊急救援を求めているが、この緊急事態は完全にEpic自身が引き起こしたもの」であり、Epicがガイドラインに違反する支払いメカニズムを削除すればFortniteをApp Storeに戻し、開発者アカウントを無効にすることもないとしている。
この裁判の初公判は24日にカリフォルニア州北部地区連邦地裁でZoom経由で開催の予定だ。
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