AppleとGoogleの曝露通知、「Express」で当局の負担軽減
AppleとGoogleが新型コロナウイルス対策で協力して提供している曝露通知システムのフェーズ2として、国や地域の公衆衛生当局が独自アプリを開発する必要のない「Exposure Notification Express」を発表した。当局がオプトインすれば、iOS 13.7以降はアプリのダウンロードが不要になる。
米Appleと米Googleは9月1日(現地時間)、5月に提供を開始した新型コロナウイルス感染症の曝露通知システム(Exposure Notification System、以下「ENS」)を発展させた新たなフレームワーク「Exposure Notifications Express」(以下「Express」)を発表した。
ENSとは異なり、公衆衛生当局はアプリを開発・維持する必要がなくなる。当局はAppleとGoogleに、アプリの名称、ロゴ、通知の基準、通知の際にユーザーに提示する情報を提供するだけで、後は両社が当局に代わってサービスを提供する(後述するように、iOSとAndroidで提供方法は異なる)。
プライバシーとセキュリティはENSと同レベルで、AppleとGoogleがデータを流用したりすることはない。
日本の「COCOA」アプリなど、既にENSを採用した独自アプリを公開している国は、引き続きそのアプリを使える。ENS採用アプリとExpressには互換性がある。
Expressをオプトインした国では、iOSの場合は、Appleが同日公開した「iOS 13.7」にアップデートしたユーザーはiOSの設定で通知機能にオプトインすれば、アプリをダウンロードせずに曝露通知を使えるようになる。
日本の厚生労働省はオプトインしているようで、iOS 13.7の[設定]→[接触通知]でユーザーがオプトインし、日本を選ぶと以下の画面になる。
Androidの場合は、Googleが当局に代わってアプリを作成し、ユーザーはGoogle Playストアからアプリをダウンロードする必要がある。ユーザーの手間は変わらないが、その後のアップデートなどをGoogleが行うことで、当局の負担は大幅に軽減される。
Expressは、米国のワシントン D.C.、メリーランド州、ネバダ州、バージニア州が最初に採用する。
AppleとGoogleによると、ENS採用のアプリは20以上の国と地域で公開されており、米国ではバージニア州、ノースダコタ州、ワイオミング州、アラバマ州、アリゾナ州、ネバダ州が公開している。
日本のコロナアプリのダウンロード数は9月1日現在、約1577万件と発表されている。
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