Google、Pixel端末で「顔写真加工」を初期設定無効に メンタルへの配慮で
Googleが、自撮り写真を気づかずに加工していると、精神的健康に悪影響を与える可能性があるという調査結果に基づき、Pixel端末の「顔写真加工」機能を初期設定で無効にする。
米Googleは10月1日(現地時間)、最新のPixel端末(Pixel 4a、Pixel 4a (5G)、Pixel 5)の「カメラ」アプリでは、付属の「顔写真加工」機能を初期設定で無効にすると発表した。修正済みの写真が、精神的健康に悪影響を与える可能性があるためとしている。
顔写真を修正するフィルターはここ数年で急速に普及しているが、Googleがフィルター処理されたセルフィー画像が人々の幸福に与える影響を考察するための複数の調査を行ったところ、カメラや写真アプリのフィルターが有効になっていることに気づいていない場合、その写真が精神的健康に悪影響を与える可能性があるという結論だったという。調査では、保護者の8割がフィルターについて心配していると答え、10代の3分の2が、セルフィーについて仲間からいじめられたことがあると回答した。
Googleは、フィルター済みの画像が、人々の自分に対する美しさの基準を静かに設定してしまうとしている。
そこで、カメラアプリでは修正することをユーザーに意識的に選択させる必要があると判断した。修正機能を有効にする際は、その効果(肌をなめらかにし、目の下のくまを消し、目に光を追加する、など)を説明する画面を表示するようにする。
また、そもそもレタッチという言葉には悪いものを改善あるいは修正するという意味があり、実際の見た目が悪いことを示唆してしまう。さらに、「美化」や「スリム化」なども同様に、オリジナルの体の改善が必要だと思わせてしまうため、関連アプリの開発者は、より中立的な用語を心がけるべきだとしている。
Pixelのカメラアプリの顔写真加工機能のアイコンは現在、レタッチ結果にキラキラ光るデザインになっている。これは(加工すると美化できるという)価値観を押し付けることに繋がると考え、より中立的なデザインに修正する。
Googleによると、Android端末でこれまでに撮影された写真の70%以上が前面の自撮りカメラで撮影されており、Googleフォトでは240億枚以上の写真がセルフィーとしてラベル付けされているという。
関連記事
- MIT、人種差別的と批判された大規模画像データセット「Tiny Images」をオフラインに
MITの画像データセット「Tiny Images」に黒人や女性の蔑称のラベルが使われるという指摘があり、MITはこのデータセットをオフラインにし、謝罪した。 - IBM、顔認識事業からの撤退を宣言 「人種プロファイリングや自由の侵害を容認しない」
IBMが、汎用的な顔認識技術の開発と提供を廃止すると発表した。黒人男性が白人警官の暴行で死亡したことを契機に全米で人種差別抗議運動が続く中、「今こそ、法執行機関が顔認識技術を採用すべきかどうか話し合うべき時だ」とクリシュナCEO。 - 女子高生が使う写真アプリを「マツコの知らない世界」が紹介 App Storeランキングが大変動
アプリのダウンロードにおいて、テレビの影響は大きい。 - 私たちの顔はアート向き? GoogleのAIが苦慮する人種対応
2年前、黒人女性の写真を「ゴリラ」と判断してしまったGoogleの画像認識AI。最近米国でスタートしたセルフィーをアート作品とマッチングする機能は大丈夫でしょうか?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.