角川ドワンゴ学園、つくば市に「S高等学校」設立
角川ドワンゴ学園が茨城県つくば市に「S高等学校」を設立すると発表した。教育内容や学費はN高等学校と同じ。背景には、生徒数の増加で沖縄県にあるキャンパスの収容人数が限界を迎えつつある問題がある。
角川ドワンゴ学園は10月15日、新しい高校「S高等学校」(S高)を設立すると発表した。茨城県つくば市に廃校を改修したキャンパスを開設し、2021年4月に開校する予定。教育内容や学費は既存の「N高等学校」(N高)と同じで、部活やイベントなども基本的には合同で行う。
角川ドワンゴ学園の夏野剛理事によると、S高の名前の由来は「SUPER」「SPECIAL」「SHINE」「SPECTACLE」など。つくば市のキャンパスには通学コースの生徒が通う他、映像教材などでオンライン学習を行う「ネットコース」の生徒が高校卒業資格取得のために行う「スクーリング」の際に訪問する。
N高と全く同じ体制の学校を立ち上げる背景には、沖縄県うるま市にあるN高のキャンパス(沖縄伊計本校)の収容人数が限界を迎えつつある問題がある。
N高の生徒数は10月1日の時点で1万5803人。ネットコースの生徒は2年次のスクーリングでこのキャンパスに宿泊するが、これ以上生徒数が増えるとスクーリングの際に一時的に校舎の教室数や宿泊者数が足りなくなるため、新しい学校とキャンパスの設立を決めたとしている。
夏野理事は「N高は不登校の人のための学校というわけではないが、現実として(日本で)30〜50万人が学校に行けていないという話もある。そういう潜在的なニーズから見ると、N高はまだまだ小さい」とし、2年ほど前から規模拡大に備え、新校舎の開設に向けて動いていたことを明かした。
通学とネットの中間「オンライン通学コース」開設
角川ドワンゴ学園はS高の開校に合わせ、N高とS高の両方で「オンライン通学コース」を開設する。既存の通学コース、ネットコースの中間的な立ち位置で、通学コースとほぼ同様のカリキュラムをオンラインで提供する。学費は年間30万〜45万6000円(税込)。
新型コロナ対応として始めた通学コースのオンライン化が開設のきっかけ。N高通学コースでは3月ごろから、新型コロナウイルス感染症に伴う外出自粛などの影響で通学ができなくなったという。そこで、同コースではWeb会議ツールなどを活用して授業の配信を始めた。
オンラインで教育を行う中で、生徒から「自分の家から授業にするときはクラスメイトが周りにいないから堂々と発表できる」「チャット上でみんなの考えを整理して見られる」など高評価が得られたため、コースとして独立させることになったという。
ネットコースの生徒は、授業の映像を好きなときに視聴できるのに対し、オンライン通学コースの生徒は決まった時間に授業を受ける。ネットコースとは違い、教員や生徒がWeb会議ツールを使って双方向にコミュニケーションをとりながらリアルタイムに授業を進めるとしている。
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