検索とブラウザのシェアが計測できなくなるのはGoogleのせい?:Googleさん
14年にわたってWebブラウザや検索の市場調査を報告してくれていたNetApplications.comが10月でサービスを終了します。ブラウザの変更で同社のデバイス検出技術が使えなくなるので、としています。
米大統領選、主要メディアがジョー・バイデンさんの当選確実を報じました。まだ開票は終わっていないし、トランプ陣営は郵便投票の不正について裁判を起こすとしているので、SNSプラットフォームもGoogleさんも、選挙関連のフェイクニュースや扇動投稿の対処に引き続き神経を尖らせていなければならなそうです。
IT大手にとっては、トランプさんよりはバイデンさん政権の方が楽になるでしょう。貴重な人材源である移民に関する政策と、ネット中立性問題について、民主党はトランプさんのやり方にずっと反対していたので。セクション230関連も、トランプさんほどには結論を急いでいません。
一番ほっとしているのはTwitterでしょう。トランプさんは大統領を退任してからもツイートを続けるでしょうが、影響は激減します。来年1月20日にトランプさんが大統領じゃなくなると、Twitterは特別扱いをやめるでしょうし。
ただし、独禁法関連はまだ未知数です。というか、プラットフォーム大手を分割すべし、と主張している代表格は民主党のエリザベス・ウォーレン議員です。
と、ここまで米大統領選の話をしてきましたが、今回はそのつもりではなかったんです(日曜中に決着がつくと思っていなかったもんで)。無理につなげて、ここからは独禁法違反で提訴されたGoogleさんが、実際にどのくらい検索やWebブラウザのシェアを持っているかをウォッチできるサービスがNetApplications.comでした、という話です。
でした、というのは、14年にわたって毎月Webブラウザのシェアの調査結果を発表してきたNetApplications.comが、10月分を最後にサービスを終了すると発表したからです。米The Registerの記事経由で知りました。
Webブラウザ市場も検索市場も、ここ数年Googleさんのほぼ独占状態で動きがあまりなく、いつの間にか関連記事をほとんど書かなくなっていますが、アイティメディアでも2005年くらいから随分お世話になっていました。
当時はIE(Internet Explorer)が全盛でした。MicrosoftがIEをWindowsに抱き合わせしていることについて欧州委員会がクレームをつけたのは2009年のことでした。GoogleさんがChromeをリリースしたのは2008年のことです。
で、NetApplications.comがサービス提供を終了する理由というのが、Googleさんのせいなのです。
NetApplications.comがシェアを解析するために使ってきた「User-Agent」を、Googleはプライバシー強化のために使わないようにしようと提案したのです。
それは、GoogleさんがサードパーティCookieを排除すると宣言した1月のことでした。User-AgentはOSとWebブラウザの種類とバージョンを通知してくれる便利な識別子なのですが、サードパーティCookieを排除すると、今度はUser-Agentが個人の特定目的で悪用されることになるというのが廃止の理由です。
NetApplications.comの調査はこのUser-Agentに頼っていたので、これがなくなったら「われわれの端末検出技術は破壊され、長期間にわたって不正確さが生じる」ので、それよりはいさぎよく、という説明です。また、最近のボットの検出・削除もどんどん大変になっていたこともあり、そろそろ潮時かなと。
でも、この時期の終了はとても残念です。ここしばらくChromeが独占状態だったブラウザ市場ですが、Chromium採用Edgeがこれから伸びそうだし、Safariも健闘しているし。
NetApplications.comは、これまでのデータはしばらく公開しておいてくれるようです。「eコマースのトレンドと検証可能なユーザーデータに焦点を当てて」そのうちサービスを再開するそうです。
ブラウザシェア調査は、StatCounterという会社もずっと提供してきていて、こちらはまだ続けるようです。ただ、やはりUser-Agentを使っているので精度が落ちるかもしれません。そうなると、ブラウザシェア情報を把握するのも、情報をたくさんもっているGoogleさん独占になるかも、とThe Registerは言っています。
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