取扱額8兆円! 「独身の日」セールでアクセス急増、Alibabaが取り組む“サイトが落ちない”工夫とは?(1/2 ページ)
中国で毎年恒例の「独身の日」セール。毎年すさまじい規模のアクセスや売り上げがあるが、大手のAlibaba Groupは、自社の「Alibaba Cloud」などを活用してトラフィックを効率よくさばいている。AIやロボットを活用した取り組みも進めている。
中国では毎年11月11日の「独身の日」に合わせて、ネット通販業者が大セールを開催するのが通例となっている。中国EC業界の“巨人”であるAlibaba Groupも、独身の日に大規模なセールを実施し、毎年すさまじい額の売り上げを記録している。2020年の取扱額は約7.9兆円に上ったという。ただそれだけ取引があるということは、消費者からのECサイトへのアクセス数、そしてサーバへの負担がかなりの規模になることを意味する。
そこでAlibaba Groupは、自社のパブリッククラウドサービスであるAlibaba CloudをECサイトの基盤に採用。独身の日にリソースを拡張して大量のアクセスをさばき、サーバのダウンを防いでいる。同社はこのほど日本向けに記者説明会を開き、Alibaba Cloudなどを活用した独身の日への対応策を説明した。
ピーク時の注文数は毎秒58万3000件
Alibaba Groupは今回、11月1日〜3日と、11月11日の2回に分けてセールを開催。期間中の取扱額は約7.9兆円、ピーク時の注文数は毎秒58万3000件に達した。10年前に比べると流通総額は約530倍、ピーク注文数は約583倍に増えたという。
「これほどの大量アクセスを遅滞なく、そしてシステムを停止させることなく処理することは、一般的なネット通販の仕組みでは不可能。特別なアーキテクチャを考える必要があった」と、日本法人であるアリババクラウド・ジャパンサービスの奥山朋氏(インターナショナル ソリューション アーキテクト)は説明する。
そこでAlibaba Cloudが採用しているのが、独自開発した分散リレーショナルデータベース「PolarDB」とデータウェアハウス「AnalyticDB」だ。どちらもクラウドシステムで性能を発揮させるために、スケールアウトで性能を伸ばせるアーキテクチャを採用している。スケールアウトとは、大量の処理を複数のサーバで分散処理して全体の性能を向上させる手法だ。同じようなアクセスが大量にやって来るWebサーバなどで利用することが多い。
20年はコンテナ活用に注力
Alibaba Cloudは19年のセールから、ECサイトのシステムを100%クラウドで構築・運用しているが、20年のセールに向けてはコンテナの活用に注力。クラウドで運用しているシステムのうち80%をコンテナで稼働させたという。
具体的には、Alibaba Cloudのベアメタルサーバ「X-Dragon」を採用し、その上にコンテナサービス「Alibaba Cloud Container Service for Kubernetes」(ACK)を実装。その結果、ユーザーからのアクセス数に応じて、コンテナの数をどんどん増やすことに成功し、ピーク時には1時間に100万コンテナまでスケールアウトできたという。
こうした工夫の結果、20年のセールでは、PolarDBは最速で毎秒1億4000万クエリを処理した。19年に比べて60%の高速化を果たした計算になる。AnalyticDBは、行が7.7兆に上るデータをリアルタイムでさばき、処理時間をミリ秒単位まで短縮できたという。
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