Facebook、「iOS 14のプライバシー変更から中小企業を守りたい」と新聞全面広告
Facebookが、米主力3紙にAppleのiOS 14でのプライバシー変更から中小企業を守るという全面広告を出した。Appleが来年予定している変更で、アプリは追跡するユーザーデータについてユーザーからの許可を義務付けられる。これは「プライバシーではなくAppleの利益のため」とFacebookは主張する。
米Facebookは12月16日(現地時間)、米Appleが来年初頭に予定しているiOS 14、iPadOS 14、tvOS 14アプリのユーザー情報収集許可制の追加は、アプリでの広告収入に頼っている中小企業やパブリッシャーを傷つけると主張する全面広告を、米主力新聞のThe New York Times、The Wall Street Journal、The Washington Postに掲載し、公式ブログでも中小企業に対策を呼び掛けた。
全面広告の写真をツイートしたデイブ・スタン氏(元IntelやCampbell Soupの幹部で現在は複数の企業のアドバイザーや取締役を務める)は、「Facebookは個人データへのアクセスを維持するためにAppleと戦っているんだと確信している」とコメントしている。
Facebookが問題にしているAppleの新機能は、AppleがWWDC 2020で紹介した、アプリがユーザーを追跡したり、ユーザーの端末の広告識別子にアクセスするには明示的にユーザーの許可を得る必要があるというもの。「追跡」には、他の会社が所有するユーザーデータに基づいて自分のアプリ内でターゲット広告を表示することも含まれる。
ユーザーがアクセスを許可しない場合、Facebookの広告ネットワーク「Audience Network」でのターゲティングにユーザーデータを利用できなくなり、アプリ開発者やパブリッシャーがiOS 14でターゲット広告を配信する機能が制限されるというのがFacebookの主張だ。
Facebookは8月にも同様の苦言を呈している。Appleは9月、当初年内に追加する予定だったこの新機能を、開発者に対応する時間を与えるためとして来年初頭に延期した。
Facebookは「われわれの多様な広告ビジネスにも影響はあるが、それは中小企業に降りかかるものよりはるかに少ない」とし、Appleへの苦言は、あくまでも中小企業のための戦いだとしている。
同社はまた、Appleはこの新機能をユーザーのプライバシーを守るためとしているが、「プライバシーではなく、利益のためのもの」と主張。新機能でユーザーがデータ収集を拒否すれば、「中小企業は収益をサブスクリプションやアプリ内決済に頼らざるを得なくなる。つまり、Appleは(いわゆる「Apple税」で)収益を上げ、無料サービスを提供する開発者は課金するか、市場から撤退するしかなくなる」という。
FacebookはApple税についても8月から批判している。その際も、Facebookアプリを利用するユーザーが動画視聴料金をアプリ内決済で行う際に30%のApple税を免除してほしいとAppleに要求したが拒否されたとして、コロナ禍で苦労している中小企業やクリエイターの味方というスタンスで抗議した。
こうした動きには批判もあり、Ruby on Railsの作者でBasecampの創業者、デビッド・ハイネマイヤー・ハンソン氏は「Appleにも問題があると思うが、Facebookがプライバシーを略奪する自分の方法を守るために『なぜあなたは中小企業のことを配慮しないのか』という姿勢を示すのは不愉快だ(吐く絵文字)」とツイートした。
Facebookは、Appleと係争中の米Epic Gamesを裁判で支援することも発表した。
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