Telegram、2021年から広告でのマネタイズ開始 MAU5億人で苦渋の選択
エンドツーエンドで暗号化された無料メッセージングアプリ「Telegram」のドゥーロフCEOが、MAUが5億人に近づいたため、維持するためのマネタイズを開始すると発表した。メインサービスには広告を表示せず、無料での提供を続ける計画だ。
ロシア発でドバイに拠点を置くTelegram(Telegram.org)は12月23日(現地時間)、完全無料で提供してきたメッセージングアプリ「Telegram」で、2021年から収益を上げると発表した。
これまではほとんど、共同創業者のパベル・ドゥーロフCEOの私財で運営してきたが、MAU(月間アクティブユーザー数)が5億人近くなり、この規模のサービスを継続するためには少なくとも年間数億ドルが必要になったため。
この規模の資金を集めるための選択肢はマネタイズするか会社を売却するかの2つだが、「ユーザーが尊重され、高品質のサービスが保証される場所として、Telegramは世界に必要とされている」ので、「WhatsAppの創業者のように会社を売却するつもりはない」とドゥーロフ氏は言う。
サービスのメインである1対1およびグループでのプライベートチャットには従来どおり広告を表示しない。「人々のコミュニケーションにはいかなる広告もあるべきではない」とドゥーロフ氏。
計画しているマネタイズ方法は、今後立ち上げるパブリックな1対多チャンネルの投稿への広告表示と、ビジネスユーザー向けの有料の新機能。したがって、従来のユーザーにはほとんど影響なく、「Telegramをいつまでも無料で楽しめる」という。
1対多チャンネルは、「Twitterフィード(タイムラインのことか)のようなもの」で、数百万のチャンネル加入者を持つことができるという。チャンネルオーナーは、サードパーティの広告プラットフォームで広告を表示できる。
ドゥーロフ氏は2013年にTelegramを立ち上げる前、ロシアでSNSサービスVKを立ち上げたが、ロシアのインターネット大手に買収された後、CEOの座を追われた。Telegramは暗号化によるプライバシー保護が売りのサービス。ロシア当局と対立し、亡命した。
関連記事
- 10万人以上の女性のディープフェイクヌード、Telegram上で拡散──Sensity調べ
女性の画像を送ると数分でディープフェイクヌードに変換するbotがSNSのTelegram上で稼働しており、10万人以上の女性の画像が変換されたとセキュリティ企業が報告した。 - Telegram、1対1の動画チャットもE2Eの暗号化
エンドツーエンドの暗号化(E2EE)で知られるロシア発のメッセージングアプリ「Telegram」に1対1の動画チャット機能がα版として追加された。こちらもE2EE。将来的にはE2EEのグループ動画チャット機能も追加する計画だ。 - Twitter、Facebook、Google、Telegram、香港当局への情報開示を一時停止
香港で6月30日に国家安全維持法が施行されたことを受け、Google、Twitter、Telegram、Facebookがそれぞれ、香港当局へのユーザーデータ開示を一時的に停止したと発表した。同法第43条は、裁判命令に従わない企業には約140万円の罰金、6カ月の懲役を科すとしている。 - Telegramに香港デモのタイミングで大規模DDoS攻撃「偶然ではない」とCEO
香港デモの組織に活用されているTelegramが大規模DDoS攻撃を受けた。サービスは数時間後に安定した。CEOはリクエストのほとんどが中国からのもので、攻撃の時間は香港デモのタイミングと一致していたとツイートした。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.